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本田圭佑のミラン移籍はタイミングが最悪だった? 16年ぶりのCLベスト4進出で振り返るロッソ・ネロの暗黒時代 (3ページ目)

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by AFLO

【ベルルスコーニ帝国の崩壊】

 新人監督のフィリッポ・インザーギに改革を託した翌2014-15シーズンはさらに10位に順位を落とすと、シーズン終了後にはベルルスコーニが株式の48%をタイ人の実業家ビー・テチャウボン氏に売却。会長ひとりの財力だけではビッグクラブを維持できなくなったという時代背景があったにせよ、いよいよベルルスコーニ帝国は崩壊目前となった。

 その時期からクラブのメイントピックは、ピッチではなく株式売却問題へとシフトチェンジ。さまざまな憶測が広がるなか、ようやく経営権の譲渡先が決まったのは2016-17シーズンの終盤のことだった。新オーナーとなったのは、投資家のリー・ヨンホン氏。当時ヨーロッパを席巻し始めていた中国資本だ。

 その間、シニシャ・ミハイロヴィッチ監督が率いた2015-16シーズンは7位で終わるも、ヴィンチェンツォ・モンテッラ監督を招聘した翌2016-17シーズンは6位にまで復活して、ヨーロッパリーグ(EL)出場権を獲得。残念ながら出場機会を減らした本田は、そのシーズンを最後に契約満了で退団した。

 久しぶりにヨーロッパの舞台に戻った2017-18シーズンは、新オーナーが約2億ユーロを投じて大型補強を断行。ユベントスからDFレオナルド・ボヌッチを引き抜くなどスクデットを狙える陣容を整えたが、そんな矢先、中国資本がわずか1年で債務不履行に陥ってしまい、米ヘッジファンド「エリオット・マネジメント」に株式を没収されるという、まさかの事態に。

 再びクラブに激震が走ったが、現場ではシーズン途中から指揮を執ったジェンナロ・ガットゥーゾ新監督の下でEL出場圏内の6位をキープ。財政規律違反でEL出場権を剥奪されるところだったが、エリオットが救世主となって最悪の事態は免れた。

 そういう意味で、ミランが復活への道を歩み始めたきっかけは、オーナーがエリオットになってからと言っていいだろう。特に2019-20シーズン、強化責任者のマルディーニの下、財政再建と未来を見据えた若手中心のチーム編成に切り替えたことが大きかった。

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