守田英正の安定感が全軍の士気を高める スポルティング、ユベントスに惜敗も、次戦で番狂わせの予感 (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by PA Images/AFLO

【高い位置でも存在感を発揮】

 それまで、おとなしく最終ライン付近でプレーしていた守田が一転、牙を剥いたのは前半19分だった。相手DFが頭でクリアしたボールに鋭く駆け寄り、右足のインステップで低弾道の強烈なシュートを放った。ボールは左ポストを数十センチそれていったが、存在をアピールするには十分な一撃だった。

 29分にはウルグアイ代表のセバスティアン・コアテスが、30分にはポテが、そして33分にはヌーノ・サントスが、たて続けに強烈な枠内シュートを放つ。番狂わせが起きそうなムードがぷんぷんと立ちこめていた。しかし、スポルティングとしては決めておきたかったシュートでもあった。

 後半に入ると18歳のCFユセフ・シェルミティに、みるみる機能性が失われていく。高い位置でボールが収まらなくなった。いつの間にか流れはユベントスに傾いていた。

 後半28分、ユベントスはイタリア代表のフェデリコ・キエーザのウイングプレーが決まり、スポルティングゴール前に、鋭い折り返しが送られる。ブラジル人のセンターバック、マテウス・レイスが辛うじてクリアしたが、スペイン人GK、アントニオ・アダンはその時、慌てていた可能性がある。その直後のショートコーナーから送り込まれたクロスボールに、飛び出したものの、被ってしまう。セルビア代表、ドゥザン・ブラホビッチにヘディングシュートを放たれ、そこから先制点を奪われてしまった。

 するとスポルティングのルーベン・アモリム監督は戦術的交代を敢行する。その結果、守田は玉突きされるように1列高い位置にポジションを変えた。インサイドハーフというよりトップ下。残り時間をアタッカー然とプレーした。

 するとどうだろう。流れは一転、再びスポルティングに大きく傾いた。攻めるスポルティング対守るユベントス。本当に強い時のユベントスはこの態勢に入ると強かった。喜々としながら相手の選手とボールを追いかけたものだ。攻めているほうが苦しそうな表情を浮かべたものだが、現在のユベントスは、スポルティングに攻め込まれると青くなった。

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