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三笘薫、プレミア日本人記録のゴールも見せ場はあとひとつだけ プレー機会が絶対的に少なかったのはなぜか (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Reuter/AFLO

【ブライトンは今季の山場に】
 
 通常4-3-3を布くブレントフォードが5-3-2で臨んできたため、エストゥピニャンがその3の右サイドのMFミケル・ダムスゴールを意識したポジションを取ったのかもしれない。あるいはSBにMF的な位置を取らせる今日的な作戦だったのか、定かではないが、その結果、三笘は相手のウイングバック、ヒッキーと常に対峙する状態になった。
 
 後半の途中からオーソドックスな位置にポジションを戻したエストゥピニャンが攻撃参加を仕掛けたが、三笘が1対1を仕掛けるシーンをコンビとして作れなかった。エストゥピニャンが大外に出たとき、三笘はマークを嫌がったのか、内寄りにポジションを取ることになった。ブレントフォードに「取らされてしまった」と言うべきか。

 エストゥピニャンはレベルの高い左SBながら、ドリブル&センタリングの切れ味では三笘に劣る。ブライトンが3-3で引き分けた原因と、三笘に訪れた見せ場が2度に限られたことは密接な関係にある。

 右ウイング、ソリー・マーチのほうが攻撃に有効に絡む機会は三笘より断然多かった。この傾向はいまに始まった話ではない。前々から三笘よりマーチのほうが回数では上回っている。チームとして目指すべきは左右均等であるはずだが。

 ブライトンは次戦、中3日で15位のボーンマスと対戦する。そしてその次が中2日でスパーズとの大一番だ。CL出場枠をかけ、勝ち点6差で追うライバルとの対戦である。ブライトンにとってはリーグ戦の後半の山場に差し掛かる。三笘の世界でも指折りのウイングプレーが、そこで何度拝めるか。目を凝らしたい。

著者プロフィール

  • 杉山茂樹

    杉山茂樹 (すぎやましげき)

    スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。

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