三笘薫、プレミア日本人記録のゴールも見せ場はあとひとつだけ プレー機会が絶対的に少なかったのはなぜか (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Reuter/AFLO

【この試合で三笘が孤立していた理由】

 ゴール前に飛び込んだ元イングランド代表のウェルベックに、この折り返しは、ほんのわずか合わなかった。惜しくもゴールはならなかったが、三笘のアクションが完璧なるウイングプレーであったことに変わりはなかった。

 相手はわかっていても置いていかれる感じだ。魔術的なフェイントを仕掛けるわけではない。右利きの左ウイングが行なう、オーソドックスな手法のドリブル突破であるが、止められるツワモノはいまのところ現れていない。このプレーに関しては、三笘が世界で指折りのレベルにあると推測する。左で三笘以上のプレーを見たためしがないのである。

 試合はそこから両チーム1点ずつをとり合い3-3でタイムアップの笛を聞いた。プレミア6位対7位の対決に相応しい好勝負だった。ブライトンにとってこの引き分けは、EL出場をかけた戦いでは僅かながら優位に働くが、CL出場をかけた戦いでは、この日、試合がなかった4位スパーズに、勝ち点1しか詰めることができなかった。

 いまをときめく好チーム、ブライトンの一員としてCL本大会でプレーする姿が見たいとの希望を三笘に抱く筆者には、この結果は少々、残念だった。

 三笘に対しても若干、残念な気持ちが湧く。香川真司、岡崎慎司がマークしたシーズン最多得点は6ゴールだったので、ブレントフォード戦のゴールを今季の7点目のゴールとした三笘は、この記録を塗り替えたことになる。「新記録達成!」である。見出し的には歓迎すべき結果ながら、見せ場は先述の得点シーンと前半38分に、左のライン際で魅せたプレー以外、特段なかった。

 ウェルベック(1トップ)、アレクシス・マッカリスター(1トップ下)、ソリー・マーチ(右ウイング)に比べると、プレー機会が絶対的に少なく、活躍度という点で劣った。

 左SBペルビス・エストゥピニャンが、中央寄りにMF然と構えたことと、それは関係していた。サポートの距離が離れていたことが、三笘の孤立を招いたと見る。

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