超人エムバペの絶妙なゴールシーン ゴールをお膳立てしたフランス代表の個人技&アイデアが秀逸 (2ページ目)
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フリックすると見せかけてスルー。そのままエムバペにパスを通した
コロ・ムアニの一瞬のアイデア、判断力が光ったシーンである。
コロ・ムアニはボールを触ると見せてスルー。ボールはそのまま裏へ抜けるエムバペへ渡ったこの記事に関連する写真を見る エムバペはチュアメニにボールを渡したあと、裏のスペースへと走り出した。そしてチュアメニは後退するオランダ守備に対してドリブルで持ち上がっていく。
この時、コロ・ムアニはフィルジル・ファン・ダイク、ルシャレル・ヘールトロイダを背にしながらエムバペがトップスピードで走ってくるのを視野に入れ、それはファン・ダイクとヘールトロイダも同じだった。
エムバペの動きに気を取られ、2人のセンターバック(CB)は裏へのケアにやや意識が行くなか、チュアメニはコロ・ムアニへの縦パスを選択する。
ここでの判断、駆け引きが秀逸だった。コロ・ムアニは一瞬フリックするような素振りをすることで、2人のCBは足を止めてそのアクションに備えた。しかし、コロ・ムアニはボールに触れることなくスルー。2人は見事に置き去りにされ、ボールは裏へ抜けていった。
この時、チュアメニのボールの質も見事で、縦パスとも取れるし、CB間を抜くスルーパスにもなる絶妙なコースとボールの強さ。コロ・ムアニがあの一瞬で触らずCBを引きつけてスルーパスにする選択は、CBの心理の裏をかく見事なものだった。
2人の間を抜けたボールはエムバペの足元へ届き、最後は冷静にゴールへ流し込んだ。エムバペの走り込みとフィニッシュ、チュアメニのパスの質、コロ・ムアニの駆け引き、すべてが高いクオリティのスーパーゴールである。
◆【動画】ユーロ2024予選 フランスvsオランダ ハイライト
(フランスの3点目のシーンは、2分2秒~2分55秒)
著者プロフィール
篠 幸彦 (しの・ゆきひこ)
1984年、東京都生まれ。編集プロダクションを経て、実用系出版社に勤務。技術論や対談集、サッカービジネスといった多彩なスポーツ系の書籍編集を担当。2011年よりフリーランスとなり、サッカー専門誌、WEB媒体への寄稿や多数の単行本の構成を担当。著書には『長友佑都の折れないこころ』(ぱる出版)、『100問の"実戦ドリル"でサッカーiQが高まる』『高校サッカーは頭脳が9割』『弱小校のチカラを引き出す』(東邦出版)がある。
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