久保建英の今季のプレーをスペイン人記者が評価「ただ1人賞賛され続けてきた」一方で「重要度が低いことが明らかになった」 (3ページ目)

  • イケル・カスターニョ・カベージョ●文 text by Iker Castaño Cabello
  • 高橋智行●翻訳 translation by Takahashi Tomoyuki

【課題は決定力】

 しかし、今よりさらに優れた選手になるためには改善の余地もある。それはフィニッシュワークの精度を高めることだ。得点するまでに多くのシュートを必要としているため、決定力不足の解消を目指し、ペナルティーエリア内での練習に励み続けなければいけない。

 さらに味方のパスを前線で受けられない場合、下がってボールを受け、相手のプレッシャーラインを無理に突破しようとする傾向がある。そして先月のバレンシア戦で示したように、ウイングではチャンスを生み出せるものの、ポジションをトップ下に移すと、ゴールに向かうルートを失い危険度が一気に下がってしまうこともあった。久保が最も精彩を欠いた試合は昨年9月のヘタフェ戦だったと記憶している。この時はボールを全くうまくコントロールできず、何度もロストしていた。

 また、久保は今季、ラ・レアルで最も縦に強く、鋭く、危険な選手との印象があるが、3月16日にホームで行なわれたELのローマとのビッグマッチでは、チーム内で名前のある経験豊富な選手たちよりも重要度が低いことが明らかになった。エルチェ戦後に受けたインタビューで、代表戦前にゴールを決めたのが大きな励みになると強調しつつも、ローマ戦で控えになったことにショックを受けた様子を見せていた。

 現在このような状況にあるものの、シーズン前半戦は負傷者続出でポジション争いのライバルが存在せず、先発メンバーとして定着した久保はおそらく、今季終了までその地位を維持すると思われる。その主な理由として、オヤルサバルが試合勘を取り戻すのに苦戦していることが挙げられる。しかし今、ほぼ全員が戦列復帰しているため、久保には4-3-3の偽9番でプレーするという選択肢も考えられる。

 久保はレアル・ソシエダ加入から8カ月でチームメイトとサポーター両方のハートを掴んでおり、これまでに所属したどのチームよりもはるかに心地よさを感じているのは間違いない。

 エルチェ戦後にそのことを明言し、また来季、レアレ・アレーナでCLのアンセムを聴きたいとも話していた。リーガの"決勝戦"(残り試合)があと12回残るなか、ケガさえなければチュリ・ウルディンサポーターが夢見る目標達成に向けた、キープレーヤーの1人となるはずだ。

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イケル・カスターニョ・カベージョ
レアル・ソシエダの地元紙「エル・ディアリオ・バスコ」で番記者を務め、ホーム、アウェー問わず、全試合を取材し続けている。

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