旗手怜央が語る甲子園準優勝の父親の存在「いつも背中を押してくれた」「今も大切にしている言葉がある」 (3ページ目)

  • text by Harada Daisuke
  • photo by Getty Images

【「継続は力なり」「物や道具を大切にしなさい」】

 競技が違うこともあり、父親からプレーについてアドバイスをもらったことはないし、プレーについて指摘されたこともない。何かを言われた記憶はないけど、自然と自分は父親を尊敬し、憧れていたのだろう。

「継続は力なり」

 家のリビングにあるテレビの横に、そう書かれたお皿がずっと飾ってあった。聞いたことはないが、きっと父親が大切にしている言葉なのだろう。その意味が理解できるくらいの年齢になった時、自分もその言葉を格言や指針として、努力を続けるようになった。最近は、母親から「父親に性格も似てきた」と言われる機会も増えてきたが、意志の固さに表れている頑固なところや諦めずに努力し続けるところは、きっと父親譲りなのかもしれない。

 そんな父親から言われ、今も大切にしている言葉がある。

「物や道具を大切にしなさい。自分の身の回りのことに気を遣えない人間は、自分の身体については、もっと気づくことができないよ」

 だから、自分は練習用のスパイクは練習が終わってから手入れし、試合前日には必ず試合で履くスパイクを自ら磨き、きれいにしている。それは川崎フロンターレ時代も、セルティックでプレーするようになった今も変わらず続けている習慣のひとつだ。

 越えようと目指してきた背中であり、憧れていた背中に、今の自分は少しだけ近づくことができただろうか。スパイクを磨きながら、そんなことを考えた。

(連載第15回「ゴールやアシストが増えた理由を自己分析」>>)

旗手怜央 
はたて・れお/1997年11月21日生まれ。三重県鈴鹿市出身。静岡学園高校、順天堂大学を経て、2020年に川崎フロンターレ入り。FWから中盤、サイドバックも務めるなど幅広い活躍でチームのリーグ2連覇に貢献。2021年シーズンはJリーグベストイレブンに選ばれた。またU-24日本代表として東京オリンピックにも出場。2021年12月31日にセルティックFC移籍を発表。2022年1月より、活躍の場をスコットランドに移して奮闘中。3月29日のカタールW杯アジア最終予選ベトナム戦で、A代表デビューも果たした。

◆【画像】旗手怜央のセルティック、三笘薫のブライトンほか、久保建英のレアル・ソシエダほか、欧州サッカー注目クラブのフォーメーション

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