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三笘薫爆発の要因に欠かせない「ブライトンの戦術」。水沼貴史は「日本代表でも参考になる」 (3ページ目)

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko
  • photo by Getty Images

【ステップアップを焦る必要はない】

 三笘の活躍を語るなら、もう一つ欠かせないのはゴールだ。カタールW杯後から得点を量産し始めて、技術的にレベルが高かったり、チームを勝たせる決勝点であったり、格上相手のゴールだったり、とにかく印象に強く残るスーパーゴールばかり。

 とくにFAカップ4回戦のリバプール戦のアディショナルタイムで決めた決勝点は、「すごい!」という言葉しか出てこなかった。現象を解説することは可能だけれど、あのゴールを形容すればするほど、嘘くさくなってしまう。

 すごいものはすごい。それだけでいいじゃないかと思うくらい、あのゴールは見る者すべての記憶に残る圧巻のゴールだった。

 三笘がいるだけでボールを持った瞬間に何かが起こる期待感があるし、今度はどんな突破をし、どんなゴールを決めてくれるのだろうという、久しく味わっていなかったワクワク感を抱かせてくれる。

 2月18日時点では、リーグで5得点(公式戦では7得点)。このペースであればプレミア1年目で2桁も見えてきた。アシストは2つだが、イージーなチャンスを味方が外したアシスト未遂も含めるともっとついてもおかしくなかった。

 個人的には、川崎フロンターレで見せていたようなロングカウンターからの得点はまだないので、そういうゴールも見てみたい。どんな形であれこのままゴールを積み重ね、自信をさらに深めていってもらいたい。

 これだけの活躍を受けると、注目を集めるのはどのようにステップアップしていくかだろう。絶対に上がっていく選手だと思うし、選手であればビッグクラブへの移籍を目標にするもので、それに見合う結果を残してもいると思う。

 ただ、個人的には焦る必要はないと感じる。ブライトンはしっかりとプレミアリーグで経験値を積みながら結果を残していけるチームなので、長くとまでは言わないまでも、もう少し足元をしっかりと固めてからステップアップしても遅くはないと思っている。

 今よりステップアップとなると、リーグのなかでは格上という立場のクラブになってくるはず。そうなると各試合スペースはないし、今とは状況が異なる形でボールが入ってきて、必ずしも三笘が生きる形ではないかもしれない。

 それでも当然、今よりも大きな責任やプレッシャーがあり、難しい状況に追い込まれるのは往々にしてある。だったら今はまだ、ブライトンで思いきってプレーしているほうがいいと感じてしまう。

 そう言いつつも、マンチェスター・シティのジャック・グリーリッシュの位置に三笘が入ったらどんな活躍をするんだろうと考えてしまうこともある。ジョゼップ・グアルディオラ監督だったら、どのように三笘を生かすのかと想像もしてしまう。いずれにしても彼がどんな選択をしても楽しみだし、どこへ行ってもやれると思っている。

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