「新銀河系軍団」PSG崩壊へのカウントダウンか。22戦無敗の快進撃から一転、カタールW杯後に何が起きた?
パリ・サンジェルマン(PSG)とクリストフ・ガルティエ監督にとって、今シーズンの滑り出しは申し分のないものだった。
リーグ戦開幕前のトロフェ・デ・シャンピオン(フランス・スーパーカップ)からワールドカップ前のオセール戦(第15節)まで、公式戦計22試合を戦って18勝4分け。22戦無敗の快進撃を続け、リーグ・アンでも2位RCランスに勝ち点5ポイント差をつけて首位を快走していた。
しかも15試合で43得点を叩き出し、失点はわずかに9点。まさに「新銀河系軍団」の名にふさわしい無敵ぶり、と言っていい完璧な成績だった。
ネイマールの不満が爆発しなければいいが...この記事に関連する写真を見る ところが、ワールドカップ後に突如として暗転し、12試合で6勝1分け5敗。特に年明けからの11試合ですでに5敗を喫しており、公式戦46試合を戦った2022年で喫した黒星を早くも上回ってしまうという事態に陥っている。
さらに言えば、チャンピオンズリーグ(CL)のバイエルン戦を含めた公式戦3連敗は、PSGがカタール資本になった2011-12シーズン以来、初めての出来事。かろうじてリーグ・アンでは2位マルセイユに5ポイント差をつけて首位をキープしているものの、現状、ガルティエ監督が率いるチームは完全に"クライシス"に陥ったと言っていい。
いったい、ワールドカップ後のPSGに何が起こっているのか?
このような危機的状況となった原因を探れば、主に3つの問題点が浮上する。
まず、シーズンを中断して開催されたカタールワールドカップの影響だ。これについては、シーズン前からある程度は想定されていたことであり、やむを得ない部分もあるだろう。
とはいえ、FWリオネル・メッシ(アルゼンチン)、FWネイマール(ブラジル)、FWキリアン・エムバペ(フランス)の看板トリオをはじめ、DFマルキーニョス(ブラジル)、DFアクラフ・ハキミ(モロッコ)、MFヴィティーニャ(ポルトガル)、MFダニーロ・ペレイラ(ポルトガル)、MFカルロス・ソレール(スペイン)、DFヌーノ・メンデス(ポルトガル)といった現チームの主軸のほとんどがワールドカップに出場したうえ、その全員が決勝トーナメントに進出。
とりわけメッシとエムバペは決勝戦、ハキミは3位決定戦、ネイマールとマルキーニョスも延長PKまでもつれこんだ準々決勝を戦い、ダニーロ・ペレイラとヌーノ・メンデスはワールドカップで負傷するなど、シーズン再開に向けた主軸たちのコンディションの再調整はひと筋縄ではいかなかった。
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プロフィール
中山 淳 (なかやま・あつし)
1970年生まれ、山梨県出身。月刊「ワールドサッカーグラフィック」誌編集部勤務、同誌編集長を経て独立。スポーツ関連の出版物やデジタルコンテンツの企画制作を行なうほか、サッカーおよびスポーツメディアに執筆。サッカー中継の解説、サッカー関連番組にも出演する。近著『Jリーグを使ってみませんか? 地域に笑顔を増やす驚きの活動例』(ベースボール・マガジン社)