バルサ、シャビ改革の明と暗。マンU戦はドロー、黄金世代に返り咲くことができるのか

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Reuters/AFLO

 FCバルセロナは、再び黄金時代に返り咲くことができるのか?

 カタールW杯でリーグ戦が中断する少し前から、バルサの調子は徐々に上向いている。チャンピオンズリーグ(CL)ではグループリーグで敗退したものの、リーガ・エスパニョーラでは首位を奪還。最少の失点数(7失点で、次に少ないレアル・マドリードとアトレティコ・マドリードは17失点)を誇るなど、守りが安定し、攻撃力も増してきた。今年1月のスペインスーパー杯では、決勝でレアル・マドリードを下し、昨シーズン、シャビ・エルナンデスが監督に就任以来、初の戴冠となっている。

 国内で力を取り戻しつつあるからこそ、欧州カップでの戦い方が注目された。ヨーロッパリーグ(EL)、ベスト16プレーオフでの名門マンチェスター・ユナイテッドとの一戦は、「シャビ・バルサの現在」を測る目安になるはずだった――。

 2月16日に行なわれた第1戦、バルサは本拠地カンプ・ノウでマンチェスター・ユナイテッドと2-2で引き分けている。「ポジティブ」とは言いきれない結果だろう。敵地オールド・トラッフォードでの第2戦を残し、ペドリが右足太もも直筋のケガで約1カ月の離脱、ガビは累積警告で出場停止となってしまった。

 しかし、試合内容は大いに希望が持てるものだった。

 マンチェスター・ユナイテッド戦、ラフィーニャのゴールで同点に追いついたバルセロナ マンチェスター・ユナイテッド戦、ラフィーニャのゴールで同点に追いついたバルセロナこの記事に関連する写真を見る 布陣図で書けば4-2-3-1になるのだろうが、ポジションは流動的だった。左サイドバックのジョルディ・アルバが高い位置を取って、実質3バックのようになっていた。左がスタートポジションのガビも神出鬼没に顔を出してプレー強度を高め、右のラフィーニャはウィングバックのようにしっかり戻りつつ(まだ守備は軽いが)、インサイドに入って得意の左足でゴールを狙った。

 バルサは世界を席巻した時代、ヨハン・クライフ、フランク・ライカールト、ジョゼップ・グアルディオラといった指揮官が「変幻自在」をベースにしていた。ポジションにこだわらず、オートマティックに人が動き、そこでボールを受け渡していたからこそ、相手の裏を突けた。だが、リオネル・メッシへの依存が強くなりすぎ、さらにロナウド・クーマン元監督が強度に頼って迷走させていた。

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