バルサ、シャビ改革の明と暗。マンU戦はドロー、黄金世代に返り咲くことができるのか (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Reuters/AFLO

【攻撃は競争力を高めている段階】

 シャビ監督は批判を受けながらも、かつてのバルサの色を取り戻しつつあると言えるだろう。

 好転のきっかけとなったのは、試行錯誤を重ねてきたバックラインの均衡にある。長らく中心だったジェラール・ピケはスピードの衰えが激しく、バックラインを上げられなくなっていた(昨年11月に引退)。エリック・ガルシアは単純に守備力が脆弱。クレマン・ラングレ(現トッテナム)、サミュエル・ユムティティ(レッチェ)もバルサのレベルでは落第だった。

 そこでシャビは、高く速く強いロナルド・アラウホを軸に残し、バックラインを再編。アンドレアス・クリステンセン、ジュル・クンデ、マルコス・アロンソというディフェンスを新たに獲得し、組み合わせも増やした。これで守備にめどが立った。

「やり方、戦い方は変えていない。ローテーションもあって、選手を入れ替えただけ」

 シャビ監督は説明したが、マンチェスター・ユナイテッド戦では、M・アロンソを先発に抜擢している。その左足でのビルドアップを生かし、49分にはCKからヘディングで先制点ももたらしている。

 ただ、一度地に落ちたチームを天高く引き上げるのは時間がかかる。

 1点リードした後、バルサはペースを緩め、勢いに押されている。ペドリがすでに負傷交代していたこともあったが、90分間を戦うなか、まだ波がある。マンチェスター・ユナイテッドのマーカス・ラッシュフォードのゴールへ向かう力は怪物的だったにせよ、受け身になってしまうと脆く、50分からの10分足らずで2失点。呆気なく逆転されている。

 やはり、バルサがバルサであるためには"攻め勝つ"しかない。その点では、75分にラフィーニャのシュート性のクロスが同点弾になったことは、彼らの希望だろう。その後も、交代出場のフェラン・トーレス、アンス・ファティ、アレックス・バルデが決定機を作っていた。今は伝統の攻撃力においても、競争力を高めている段階だ。

「ラフィーニャには、『お前の立場だったら、俺も怒っている』と言ったよ。選手の"プレーしたい"という強い気持ちはネガティブなことじゃない。私にとってはポジティブだ」

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