エムバペに続いてメッシも離脱? PSG対バイエルンで始まるCL16強の注目は、優勝候補が直接対決する2試合 (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Reuters/AFLO

【レアル・マドリードが勝つ理由は?】

 14回も勝っている理由はなんだろうか。それは言ってみれば、どこよりも勝ちたがっているからだと見る。13度目の優勝を飾った2017-18シーズン後、レアル・マドリードは低迷した。勝ちたい気持ちが低下したかに見えた。直近の5シーズンでも4度勝っていたので、無理もないとは筆者の素朴な感想だが、その状態からレアル・マドリードは、思いのほか早く回復した。

 昨季の決勝トーナメントの戦いぶりに、それは鮮明に表れていた。決勝トーナメント1回戦から決勝戦に至るまで4試合、すべて下馬評は相手より低かった。まさかの勝利を続けながら優勝した。レアル・マドリードの場合、高まったモチベーションは1度優勝したぐらいでは低下しない。レアル・マドリードに昨季の再来はあると見る。

 問題はリバプールだ。現在10位という国内リーグの戦いを見る限り、勝ちたくてどうしようもないという気迫は伝わってこない。精神論をふりかざしているのではない。勝ちたい気持ちと成績とが深い関係にあることは、長年のCL取材で学習したことである。

 想起するのは2004-05シーズン、イスタンブールで行なわれたリバプール対ミランの決勝だ。ミランの決勝進出が2年ぶりだったのに対し、リバプールは21年ぶりで、その優勝に飢えた様子は、リバプールのスタンド風景に見て取れた。

 だが、試合は前半を終了して0-3。ミランの優勝は9割方、動かぬものになっていた。勝負は決したと、ハーフタイムをのんびり過ごしたミランのサポーターに対し、リバプールサポーターは『ユール・ネバー・ウォーク・アローン』以下のテーマ曲を歌いまくった。スタンド風景ではリバプールが完勝していた。3-3に追いつき延長、PK戦でリバプールが勝利した大逆転劇を語る時、勝利に飢えたこのサポーターの熱は外すことのできない要素になる。

 当時の熱が冷めたかに見えるリバプールに対し、昨季演じたまさかの優勝劇で、さらに熱気を帯びたかに見えるレアル・マドリード。お腹いっぱいに見えるリバプールに対し、まだまだ食欲旺盛なレアル・マドリード。5番手と6番手という下馬評の微妙な関係も輪をかける。レアル・マドリードがチャレンジャーの立場で戦えそうな点が、この一戦のミソだと筆者は見る。

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プロフィール

  • 杉山茂樹

    杉山茂樹 (すぎやましげき)

    スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。

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