鎌田大地、長谷部誠が挑むCL16強の戦い。決勝トーナメントで得点した日本人や頂点に最も近づいたのは誰か?
日本人のチャンピオンズリーガーは、チャンピオンズカップ時代にケルンの一員としてベスト4に進出した奥寺康彦を含めると25人に上る。そのうち決勝トーナメントを戦ったことがある選手は奥寺、中村俊輔(セルティック)、長友佑都(インテル)、内田篤人(シャルケ)、本田圭佑(CSKAモスクワ)、香川真司(マンチェスター・ユナイテッド)、岡崎慎司(レスター)、南野拓実(リバプール)の8人だ。
一流選手の証拠であるその顔ぶれのなかに、このほど新たに2人が加わりそうだ。鎌田大地と長谷部誠。2月21日(現地時間)、ナポリとホームで対戦するフランクフルトの2人である。日本人選手として決勝トーナメントの舞台に立つのは2019-20シーズンの南野以来で、今回はちょうどその3年後にあたる。しかし、南野の出場(決勝トーナメント1回戦アトレティコ・マドリード戦)は延長戦のラスト7分間に限られた。スタメンを堂々張った選手となると、2016-17シーズンの岡崎(準々決勝アトレティコ・マドリード戦)まで遡る。
チャンピオンズリーグ決勝トーナメント1回戦でナポリと対戦するフランクフルトの鎌田大地この記事に関連する写真を見る チャンピオンズリーグ(CL)の決勝トーナメントで得点を挙げた選手はふたり。先述の奥寺と2009-10シーズンの本田だ。それは1978-79の準決勝ノッティンガム・フォレスト戦に奥寺が挙げたゴールから31年ぶりとなるゴールでもあった。
CSKAの決勝トーナメント1回戦、ラモン・サンチェス・ピスファンで行なわれたセビージャとのアウェー戦。決勝弾は本田の左足FKだった。その強シュートがブレ球となり、GKを強襲しながらネットに吸い込まれる様はまさに圧巻で、魔球と言いたくなる欧州を震撼させる一撃だった。
本田はその時、日本代表(岡田ジャパン)で重要な位置を占めていたわけではなかった。岡田武史監督の評価は低く、控えに甘んじていた。しかし、このゴールを見た岡田監督は、さすがに考えを改めたのだろう。モスクワへ飛び、本田と会ったとされる。その後、本田は代表のスタメンに昇格。チームの中心人物となった。
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プロフィール
杉山茂樹 (すぎやましげき)
スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。