エムバペに続いてメッシも離脱? PSG対バイエルンで始まるCL16強の注目は、優勝候補が直接対決する2試合
クラブ対抗戦のチャンピオンズリーグ(CL)と国別対抗戦のW杯。世界の有力選手が、カタールW杯を間にはさんで臨む2022-23シーズンのCLには、いつも以上にW杯の組替え戦的な様相が濃く反映されると思われる。W杯を経て世界のサッカーへと関心の幅を広げたファンにとって、14日から始まるその決勝トーナメントは、取っつきやすい戦いに映るに違いない。
英国ブックメーカー各社による16チームの下馬評は以下の順だ。
1)マンチェスター・シティ、2)バイエルン・ミュンヘン、3)パリ・サンジェルマン(PSG)、4)ナポリ、5)リバプール、6)レアル・マドリード、7)チェルシー、8)トッテナム・ホットスパー......16)フランクフルト
この上位チームのなかで、決勝トーナメント1回戦における直接対決が2試合組まれている。バイエルン対PSG、リバプール対レアル・マドリードだ。
2番手と3番手の対決となる前者が、全8試合中、一番の好カードであることは言うまでもない。バイエルンとPSGは直近の5シーズンで3度も対戦している。グループリーグを戦った5シーズン前(2017-18)は1勝1敗。決勝対決となった3シーズン前(2019-20)は1-0でバイエルン。準々決勝で対戦した2シーズン前は、合計スコア3-3。アウェーゴールルールで、バイエルンが勝利している。バイエルンがわずかに優勢ながら、全試合すべて僅差の接戦である。
今回も好勝負が期待されるが、苦しい立場に置かれているのは、キリアン・エムバペの故障欠場が決定的なPSGだ。同チームの看板はリオネル・メッシとネイマール、そしてこのエムバペである。メッシとエムバペはW杯決勝で対戦していて、PK合戦の末、優勝に輝いたのはメッシだった。
ケガのためバイエルン戦の出場が不安視されるリオネル・メッシ(パリ・サンジェルマン)この記事に関連する写真を見る しかし、PSGにとってメンバーから最も外れてほしくない選手はメッシかエムバペかと問われれば、筆者なら後者を挙げる。カタールW杯でよりインパクトを残したのはメッシよりエムバペだった。戦術的にひと皮剥けた印象を受けた。ネイマールよりバロンドールに近づいたと見るが、その矢先の欠場である。PSGはさらにメッシの出場も微妙な状態にあるという。ホームの初戦はまさに鬼門になる。
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著者プロフィール
杉山茂樹 (すぎやましげき)
スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。