三笘薫、劇的決勝弾でリバプール撃破。どのレベルまで「縦突破」を挑むことができるか (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Reuters/AFLO

 どのレベルまで三笘は縦勝負を挑むことができるか。まだ限界に達していない自覚が本人にはあるはずだ。まだいける。劇的な決勝ゴールを生む原因となったあの繊細なボールタッチは、この精神的なノリのよさから生まれたものだと考える。

 三笘を後押しするのは、ブライトンのサッカーだ。欧州史には強豪ではないクラブがいいサッカーで評判になった例がある。フォッジャ、セルタ・デ・ビーゴ、レバークーゼン、デポルティーボ・ラ・コルーニャ、もちろんアヤックスもこれに含まれるが、ブライトンもこのなかに加われそうなムードがある。

 三笘には運がある。いいクラブに入ったとつくづく思う。なにより、エストゥピニャンという相棒にも恵まれたことが大きい。カタールW杯を5バックのウイングバックとして戦った森保ジャパンにはあり得ない魅力である。

 三笘に縦突破を何度、挑ませることができるか。日本代表の浮沈もここにかかっている。欧州を視察中の森保一監督は、このリバプール戦を実際に見たのか見なかったのか。気になるところだ。

【著者プロフィール】杉山茂樹(すぎやま・しげき) スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。

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