マンチェスター・シティがギアチェンジで攻撃力爆発。ハーランドのハットトリックを生む、十八番とも言えるサイドからの崩し (2ページ目)

  • 篠 幸彦●文 text by Shino Yukihiko
  • 西村知己●イラスト illustration by Nishimura Tomoki

Answer 
マフレズがドリブルで相手を引きつけ、デ・ブライネへ落としてクロスを入れる

 マンチェスター・シティの、十八番とも言えるサイドからの崩しのパターンである。

マフレズがドリブルで相手2人を引きつけてデ・ブライネへ。クロスからハーランドがゴールマフレズがドリブルで相手2人を引きつけてデ・ブライネへ。クロスからハーランドがゴールこの記事に関連する写真を見る マフレズがロドリからサイドチェンジのパスを受けてブエノと対峙する時、ケビン・デ・ブライネが後方のハーフレーン(サイドと中央の間のレーン)にポジションを取っていた。この時のマフレズとデ・ブライネの選択がポイントである。

 ロドリからの展開で、マフレズに対してブエノがスライドし、ペナルティーエリア内のポケット(ゴールエリア外側のスペース)が空いた。しかしデ・ブライネは、ここでポケットへ走り込まず、後方で止まることを選択。前半始めから同じ展開で走り込んだり、止まったりと駆け引きを繰り返していた。

 そしてデ・ブライネが走らないと見ると、マフレズはポケットへ向かってドリブルを開始。すると、個の質で優位を取るマフレズに対して、デ・ブライネのマークについていたマテウス・ヌネスが挟み込むようにカバーに入った。

 このドリブルでマフレズはマーク2人を引きつけ、相手の最終ラインを敵陣深くに押し込むことに成功。そして次の瞬間にフリーとなったデ・ブライネへバックパスを出す。これをデ・ブライネがワンタッチでピンポイントクロスを入れると、ハーランドがヘディングで先制点を叩き込んだ。

 マンチェスター・シティはポケットに走り込むパターンも多用するが、質的な優位を前提にドリブルで2人を引きつけて、ペナルティーエリア手前の味方をフリーにするこのパターンも鉄板の崩し方である。

 そしてマンチェスター・シティは1月27日にFAカップ4回戦でアーセナルと対戦。リーグでタイトルレースを演じる両クラブが、カップ戦でどんな戦い見せるのか注目だ。

【筆者プロフィール】
篠幸彦(しの・ゆきひこ)
1984年、東京都生まれ。編集プロダクションを経て、実用系出版社に勤務。技術論や対談集、サッカービジネスといった多彩なスポーツ系の書籍編集を担当。2011年よりフリーランスとなり、サッカー専門誌、WEB媒体への寄稿や多数の単行本の構成を担当。著書には『長友佑都の折れないこころ』(ぱる出版)、『100問の”実戦ドリル”でサッカーiQが高まる』『高校サッカーは頭脳が9割』『弱小校のチカラを引き出す』(東邦出版)がある。

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