ブラジル代表に重大危機。次期監督は決まらず、国民は怒りを通り越して無関心に

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

【外国人監督に次々と断られ...】

 ブラジル代表自体も末期的状況だ。この先に何が待っているかわからない。

 まず代表監督がいない。チッチはW杯前から、大会後は監督を辞任することを表明していたが、その後釜はいまだに決まらない。ブラジル代表監督といえば、世界でもレベルの高いポストだろう。しかし、そのなり手がない。みな今のブラジルの状況がカオスであることを知っているからだ。

 カルロ・アンチェロッティ、シャビ、ジョゼップ・グアルディオラ、ジネディーヌ・ジダンにはすでに断られた。ジョゼ・モウリーニョだけがまだ正式にははっきりとした回答を送ってきていない。その他に可能性があるとしたら現パルメイラスのポルトガル人監督アベル・フェレイラだろう。彼はパルメイラスを率いてリベルタドーレス杯に連勝、ブラジルリーグ優勝も果たしている。この成功は、ひとえにパルメイラスが他のチームより財力があるからだと思うのだが、ブラジルでは非常に人気の高い監督だ。

 ちなみにCBFとしては外国人監督を考えているという。残念ながらブラジルにはそれだけの監督が今、いないのだ。そのこともブラジル人には情けなくてならない。初の外国人監督への風当たりは、きっと強いものになるだろう。

 不在は監督だけではない。チームコーディネーターもいないし(ジュニーノ・パウリスタはW杯後に辞任した)、リーダーもいない(ネイマールは代表を続けるかどうかわからない)。何も決まっていないため、親善試合さえできない。今やブラジル代表は存在しないも同然だ。

 もちろん若くていい選手はいる。東京オリンピック以降、優秀な選手が多く誕生している。しかし、彼らの多くもチッチの事なかれ主義と先輩選手の傲慢さにより、すでに悪い影響を受け始めている。彼らを早急に正しく指導することが必要だが、その導き手がいない。

 W杯に参加した32カ国のうち、ブラジルより早く消えていったビッグチームはいくつもある。しかし大会後、最も危機に直面しているのはブラジルかもしれない。

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