ブラジル代表に重大危機。次期監督は決まらず、国民は怒りを通り越して無関心に

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

【もう代表の話は聞きたくない】

 もともと、ブラジル人のセレソンへの愛着は昔に比べるとかなり薄れていた。現代表の多くは若いうちにヨーロッパに行ってしまっている。10代でブラジルを去る者も少なくない。そのためブラジル人のほとんどは、自分たちの代表のプレーをナマで見たことがないのだ。

 ロドリゴ、ヴィニシウス・ジュニオール、ファビーニョ、ラフィーニャらは、はっきり言って外国の選手と同じだ。カタールW杯メンバーのうちブラジル国内でプレーするのは第3GKのウェベルトン(パルメイラス)、エベルトン・リベイロ(フラメンゴ) 、ペドロ(フラメンゴ)のみ。人々はこれも不満に感じていた。たとえばフラメンゴで活躍中のガビゴル(ガブリエウ・バルボーザ)はなぜ今回、選ばれなかったのか。ブラジル年間最優秀選手となったパルメイラスのグスタボ・スカルパ(12月にノッティンガム・フォレストに移籍した)がなぜいないのか。ブラジル人は納得できない。

 選ばれた選手が彼らより上なら、まだ説明もつくが、ガブリエウ・ジェズスはアタッカーなのに1ゴールも上げないうちに負傷してしまったし、同じくアーセナルのガブリエウ・マルティネッリなどもケガでW杯前はほとんどプレーしていなかった。

 ブラジル国内でプレーしていてはダメなのか。ヨーロッパでプレーしていなければダメなのか。それもブラジル人の心が代表から離れている原因だ。ちなみに、CBF(ブラジルサッカー連盟)のお達しで、市場価値を上げる必要がある選手を代表に積極的に入れるようにしているという噂もあるほどだ。

 メディアで代表を非難する先鋒は元ブラジル代表で引退後はコメンテーターとして活躍しているネトだ。彼は今回のセレソンのあり方はすべて間違っていたと言う。しかし、それ以外のメディアはほとんどが無視だ。もう代表の話は聞きたくない、興味もない。20年勝てない。それは悲しいが受け入れることができる。しかしカナリア色のユニホームのために勝とうと努力しないチームはもういらない。

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