元サッカー日本代表・岩本輝雄のカタールW杯の歩き方。各国サポーターとの交流や地元クラブの練習見学、砂漠ツアーと試合以外でも大忙し (4ページ目)

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko

【ドイツとスペインのうまさ】

――日本代表の試合についてはどう感じました?

 グループリーグを見たなかで、一番強いと感じたのはドイツでしたね。本当にうまかった。お互い4-2-3-1のシステムなんだけど、ドイツはDFラインが左肩上がりになって可変するんですよね。左サイドバックが高い位置を取って、前線に5人が並ぶ形になるから伊東純也が前に出たくても出られなくなった。

 前からプレスではめにいこうと思っても、イルカイ・ギュンドアンとヨシュア・キミッヒがうまく下りてきて数的優位を作られるし、ボランチの田中碧が前に出ようとするとトーマス・ミュラーが背後に入ってくるから出られず。出なければ空いたスペースにドイツの両ウイングが入ってきて使われてしまう。

 試合後に森保一監督と話したら「最初の10分は前からもっとプレスに出る予定だったけど、GKの(マヌエル・)ノイアーの足元がうまくてプレスを外されちゃうから行きたくても行けなかった」と言っていましたね。

――前半はまさにそんな展開でした。

 スペイン戦でも最初からプレスではめに行こうとしたんだけど、ガビとペドリを中心に左サイドバックとウイング、シャドーがうまくローテーションして、マークを簡単に外しちゃうんですよね。ロドリやパウ・トーレスのクサビの質も高いし、狭いスペースのなかで受けても絶対にミスをしなかった。

 吉田麻也が言っていたのが、前半、本当は前から取りに行きたかったんだけど、スペインのローテーションがあまりにうまかったので、日本の3バックの前のバイタルエリアが使われてしまう危険があったと。そこで、ボランチを前に出さないようにして、前半は割りきって行かなかった。スペインのボール回しはすごすぎて、取れる気がしなかったと言っていましたね。

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