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メッシ、アルゼンチン代表続行の可能性も示唆。W杯後に母国で語った喜びの言葉の数々 (2ページ目)

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

【「人生で最高の日?」と聞かれて】

 だが、トロフィーを手に持っていたメッシはやはり責任を感じたのか、戻ってきて旧知の記者、数人と話をした。幸運にも私はそのなかに入ることができた。少し落ち着きを取り戻していたメッシは「あなたは今、世界ナンバー1だと感じていますか?」と聞かれると、少し困ったようにこう答えた。

「世界中の善良な人たちが、僕が世界一だと思ってしまうことに、今、ちょっと当惑している」

 なぜ当惑するのか? その答えはセルヒオ・アグエロとのやり取りのなかにあった。病気のため泣く泣く引退をしたアグエロだが、試合後はチームに合流、アルゼンチンのユニフォームを着て、まるで今も代表の一員であるかのように優勝を祝っていた。彼は喜びに沸くアルゼンチンロッカーの様子をSNSで配信していた。そのなかで彼はメッシに尋ねる。

「お前はすべてに勝った、いったい何が足りない?」

 メッシの答えはこうだ。

「世界一ということはもう上がないということ。これ以上、何も上達できなかったら、それは悲しいことだよ。僕にとっても、どんな選手にとっても」

 幼い日々から上を目指して生きてきたメッシらしい言葉である。

 決勝戦の試合後、メッシはアルゼンチン人の記者数人からのインタビューを受けている。私はそのうちのひとりから、その内容を教えてもらった。

「僕にとってはこれが5度目のW杯だったが、一番難しかったように思う。試合中、何度も踏まれ、削られ、痛めつけられてきた。しかしどんなに倒されても、毎回立ち上がってきた。勝利は最高の薬だよ」

 メッシは今回のW杯のシンボルのひとりだった。多くのチームが打倒メッシに燃えたのは当然だろう。そのため彼への当たりはきつかったのだろう。

「人生で最高の日?」と聞かれると、それは違うとメッシは言ったという。

「最高の日は息子たちが生まれた日だ。でも、サッカー選手としては3本の指に入る喜びだ。バルセロナでデビューした日、代表でデビューした日、そして今日だ」

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