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W杯優勝のメッシはマラドーナを超えたのか。アルゼンチンサッカーを40年追ってきた自国ベテラン記者の見解

  • セルヒオ・レビンスキー●文 text by Sergio Levinsky
  • 井川洋一●翻訳 translation by Igawa Yoichi

メッシとアルゼンチンのW杯優勝 後編

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リオネル・メッシのアルゼンチンがついにワールドカップを獲り、話題になるのは1986年にW杯を制し英雄となったディエゴ・マラドーナとの比較だ。マラドーナの時代から約40年に渡りアルゼンチンサッカーを追いかけてきた自国のベテラン記者は、今、このふたりをどう見ているのか。

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メッシとマラドーナはどちらが偉大か photo by Getty Imagesメッシとマラドーナはどちらが偉大か photo by Getty Imagesこの記事に関連する写真を見る

【マラドーナはもっとも神に近いアイコン】

 リオネル・メッシはついに、ディエゴ・マラドーナを超えたのか──。

 カタールW杯決勝でアルゼンチンがフランスをPK戦の末に下すと、待ってましたとばかりにこの議論が再燃している。

 1986年のメキシコW杯で、ほぼ独力でアルゼンチンを優勝に導いたマラドーナは、この国でもっとも神に近い存在と崇められてきた国民的アイコンだ。

 翌1987年にロサリオで生まれたメッシは、少年時代にバルセロナに引き抜かれ、クラブレベルではチャンピオンズリーグや各国リーグとカップなど、すべてを手にしてきた。数多の個人記録を塗り替え、バロンドールには7度も輝いているし、印象的なゴールも枚挙にいとまがない。

 しかしこれまでに4度挑戦したW杯では、2014年のブラジルW杯で一度だけ決勝に進出したが、ドイツの前に屈している。そしてW杯のタイトルを持っていないことから、ほかの実績でいくら優れていようとも、マラドーナを超えることはないと言われてきた。

 至高のタイトルの有無に加え、出自やパーソナリティーも、マラドーナのほうが愛されてきた理由だ。貧しい家庭に生まれ、自国のリーグで十分に活躍してから欧州へ渡り、バルセロナのあとにナポリという中小クラブを選択し、伝統的なビッグクラブを抑えてスクデットを獲得。メッシは母国のクラブでのプロキャリアを持たないため、アルゼンチン人からのサポートを得られるまでに時間がかかった。

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