サッカー日本代表がどうしても抑えたい、スペイン代表の2試合を徹底分析。驚異的なパス本数で攻撃の仕上げは左サイドから (3ページ目)

  • 中山 淳●文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by JMPA

中盤の3人を分断し、DFラインの背後を狙いたい

 では、日本はスペインに対して、どのように戦えばいいのか。

 まず、ドイツが教えてくれたポイントのひとつは、ポゼッションサッカーの心臓部にあたる中盤3人を分断することだ。スペインメディアの報道によれば、幸いピボーテのブスケツは、イエローカード1枚をもらっているため、日本戦ではベンチスタートになる可能性が高い。また、ドイツ戦でケガを負ったガビの出場も危ぶまれている。

 これまでのスペインは、ブスケツの代役は、今大会ではセンターバック(CB)でプレーするロドリが務めてきたので、日本戦ではエリック・ガルシアが右CBとして先発するかもしれない。また、右SBには攻撃的なダニエル・カルバハルより、久保建英や三笘薫を意識して守備力の高いセサル・アスピリクエタがスタメンを飾る可能性のほうが高いだろう。

 日本にとっての狙い目は、スペインの弱点とされる、DFラインの背後にできる広大なスペースだ。自陣で守る時間帯では、伊東純也や前田大然、あるいは浅野拓磨といったスピード系の駒を有効活用し、DFラインの背後を狙いたい。

 また、ミドルサードからアタッキングサードでショートカウンターを繰り出す時は、アスピリクエタのいる左サイドではなく、ジョルディ・アルバのいる右サイドを攻略するほうが、日本のアジリティーを生かせるかもしれない。

 いずれにしても、「強者=スペイン、弱者=日本」という明確な構図は揺るがない。日本としては、弱者の立場を利用したカウンター主体のサッカーで挑むことになるだろう。

 最後に、ルイス・エンリケ監督が率いるスペインは、ポゼッションだけでなく、ボールを奪ってからの速いカウンター攻撃も兼備していることを付け加えておく必要があるだろう。すなわち、早い時間帯で失点を喫して日本が前に出ようとすると、逆にカウンターの餌食になる可能性も排除できない。日本にとっては、痺れるような試合になることは必至だ。

【筆者プロフィール】
中山淳(なかやま・あつし)
1970年生まれ、山梨県出身。月刊「ワールドサッカーグラフィック」誌編集部勤務、同誌編集長を経て独立。スポーツ関連の出版物やデジタルコンテンツの企画制作を行なうほか、サッカーおよびスポーツメディアに執筆。サッカー中継の解説、サッカー関連番組にも出演する。

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