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日本代表がえぐるべきスペインの弱点。超攻撃的ハイプレスはそれを隠すためでもある (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by JMPA

ジョルディ・アルバ対久保建英に

「受け身の消耗戦で守りきる。相手が引き分けでもOKになってくれたら......」

 そんな幻想を抱くよりも、ストロングポイントで堂々と勝負すべきだ。

 守備の柱と言える遠藤航が右膝の痛みで練習を欠席したという。情報戦もあるはずだが、出場可能だとしても状態はよくないだろう。彼なしで守りきるのは難しい。酒井宏樹、冨安健洋も体調の問題を抱えドイツ戦を欠場した。もはや当初のプランは崩れ去った。弱者の兵法を捨てるべきだ。

 言うまでもないが、ペドリ、ガビの中盤と、ダニ・オルモ、マルコ・アセンシオ、フェラン・トーレスなどの前線との真っ向勝負は容易ではない。後半途中から、アルバロ・モラタ、ニコ・ウィリアムスなどパワーもスピードもあるアタッカーを投入され、一敗地にまみれることはもちろんあり得る。しかし、日本の選手も同じ舞台に立ち、無用に恐れることはない。コスタリカ戦のように腰が引けた戦いをすれば、立ち上がることができない辱めを受けるだろう。

 筆者が提案したような戦術を、森保一監督が採用するとは思えない。しかし、システムは別にしても、久保、三笘、鎌田、堂安、守田英正というボールプレーヤーでぶつかり合うべきだろう。そしてセットプレーでは高さを用い、「負けない」ではなく、勝ちにいく。

 あえてひとりキーマンを挙げるなら、久保である。アンス・ファティ、E・ガルシアは少年時代のチームメイトだし、ジェレミ・ピノのような多くの戦友がいる。スペインとの決戦に、気持ちを昂らせていることだろう。アルバであろうとバルデであろうと、彼なら翻弄できる。コスタリカ戦の欠場が「温存」だったと信じたい。

 日本サッカーの底力を見せる時だ。

【著者プロフィール】小宮良之(こみや・よしゆき)
スポーツライター。1972年、横浜生まれ。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。

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【profile】
中村憲剛(なかむら・けんご)
1980年10月31日生まれ、東京都小平市出身。久留米高校から中央大学に進学し、2003年にテスト生として参加していた川崎フロンターレに加入。2020年に現役を引退するまで移籍することなく18年間チームひと筋でプレーし、川崎に3度のJ1優勝(2017年、2018年、2020年)をもたらすなど黄金時代を築く。2016年にはJリーグMVPを受賞。日本代表・通算68試合6得点。ポジション=MF。身長175cm、体重65kg。

佐藤寿人(さとう・ひさと)
1982年3月12日生まれ、埼玉県春日部市出身。兄・勇人とそろってジェフユナイテッド市原(現・千葉)ジュニアユースに入団し、ユースを経て2000年にトップ昇格。その後、セレッソ大阪→ベガルタ仙台でプレーし、2005年から12年間サンフレッチェ広島に在籍。2012年にはJリーグMVPに輝く。2017年に名古屋グランパス、2019年に古巣のジェフ千葉に移籍し、2020年に現役を引退。Jリーグ通算220得点は歴代1位。日本代表・通算31試合4得点。ポジション=FW。身長170cm、体重71kg。

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