日本代表はスペインのわずかな穴をつけるか。カギはスピード系FWと怒涛の戦術的交代 (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by JMPA

スピード系のFWたちにかかる期待

 低迷した原因は「中盤サッカー」にあった。優秀な中盤選手がピッチの真ん中に乱立。悪い位置でボールを奪われ、反撃を食らうというパターンを繰り返してきた。今回はどうなのか。ペドリ、ガビ、そしてベテランのセルヒオ・ブスケツで構成するバルサの3人組MFはうまい。今大会でナンバーワンの中盤かもしれない。だが、かつてのように真ん中サッカーに陥っているわけではなかった。

 フェラン・トーレスあるいはニコ・ウイリアムズ(右)、ダニ・オルモ(左)の両ウイングが両サイドの高い位置に張り、ピッチを広く使うサッカーを展開する。フランスのキリアン・エムバペ、ウスマン・デンベレの両ウイングに比べるとスケール感に欠けるが、バランス的には上々だ。ジャマル・ムシアラ(左)、セルジュ・ニャブリ(右)を左右に配すドイツのウイングとの比較でも同様。バランスという点で勝っている。日本が警戒しなくてはならないポイントだ。

 コスタリカ戦の直後に書いた原稿で、筆者は次戦のスペイン戦では、1トップは鎌田大地でいくしかないと記している。コスタリカ戦では上田綺世が力量不足を露呈させ、交替で出場した浅野拓磨も、遅攻を強いられた試合展開に適合できなかったからだが、スペイン対ドイツの試合を見ると、スピード系の選手たちにも十分活躍の目はありそうな気になる。

 日本は中盤をバルサの3人組に制せられ、サイドでも後手を踏む可能性が高い。となると浅野、前田大然、伊東純也など、スピード系FWに期待が高まる。ドイツ戦では実際、スペインのGKウナイ・シモンが、最終ラインとコンビネーションが合わず、2度ほどアタフタしたプレーを見せていたのだ。

 しかし、日本に問われているものの本質は、試合を通してのメリハリであり、コントラストだ。スピード系のFWだけで90分、押しきることはできない。ドイツ戦同様、戦術的な交代を駆使した怒濤のメンバー交代で、風をムリヤリ吹かせるしか、相手を幻惑させる方法はないと考える。

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