日本代表はスペインのわずかな穴をつけるか。カギはスピード系FWと怒涛の戦術的交代 (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by JMPA

スペインはドイツより技術でやや上

 一方、初戦同様4-3-3で臨んだスペインは、右SBをセサル・アスピリクエタからダニエル・カルバハルに代える僅かひとりの交代にとどまった。初戦のコスタリカ戦に7-0で勝利を収めたにもかかわらず、控え目だった。先発5人を入れ替えてコスタリカ戦に臨んだ森保一監督の采配が際立つ格好になった。スペイン、ドイツ両国は、それだけこの直接対決を重視していたということなのだろう。

 スペイン、ドイツ両国のサッカーは、かつては水と油の関係にあった。スペインは攻撃的でドイツは守備的だった。クラブサッカーでも、攻撃的サッカーを売りにしたレアル・マドリード、バルセロナに対し、ドイツの雄、バイエルンは守備的サッカーで対抗した。それは2000年前後の話になるが、ドイツ代表のサッカーはその後、2006年自国開催のW杯頃から、バイエルンのサッカーともども攻撃的サッカーに大きく舵を切った。ユーロ2008、2010年南アフリカW杯では優勝したスペインと直接対決。決勝と準決勝でそれぞれ惜敗したが、両者のコンセプトが近づいていることは鮮明になった。

 スペインとドイツが国際的な舞台で直接対決するのはこれが2010年以来、12年ぶりだった。2008年、2010年はスペインが技術でねじ伏せた格好だったが、今回も途中まで、55対45ぐらいの関係で、スペインがわずかにリードしていた。後半15分、モラタの先制ゴールが決まった瞬間は、両者の優劣が最も鮮明になった瞬間だった。

だが、そこからドイツがジワジワ盛り返していく。それと、後半25分に交代出場したレロイ・サネの存在は密接に関係していた。日本戦をケガで欠場した左利きのアタッカー。ドイツ戦の日本に運があったことを再認識させられた試合でもあった。

 スペインはユーロ2012年を制した後、2014年ブラジルW杯ではグリープリーグ落ち、ユーロ2016はベスト16、2018年ロシアW杯ベスト16と低迷が続いている。前回のユーロ2020でベスト4入りしたが、はたして上昇傾向に転じたのか、判断が難しい問題だった。

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