バルサのカリスマ性はどこへ行ったのか。CLで3チームが脱落したスペインの凋落 (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Eric Alonso/Getty Image

バルサのバランスの悪さは明らか

 バルサは昨季もバイエルンとグループステージを同組で戦っている。結果はホーム、アウェー戦とも0-3。この完敗劇が、2000‐01シーズン以来となる最初のステージでの敗退の大きな要因だった。そこで今季、同じ轍を踏むまいと獲得したのがレヴァンドフスキだった。そして何の因果か、バルサは今季もCLのグループステージでバイエルンと同組に配された。

 相手のエースを奪ったのだから、バルサが勝つのは当然と考えるのが自然だが、実際は真逆の結果に終わった。バイエルンのホームでもバルサは2-0で敗れていた。過去2シーズン、計4戦の結果は得点0、失点11。このうち監督のシャビ・エルナンデスは3試合に関与している。バルサ生え抜きの元人気選手でなかったら、即、解任騒動に発展しているに違いない。

 バランスの悪さは一瞬にして見て取れた。レヴァンドフスキを1トップに、右にウスマン・デンベレ、左にペドリを配する3トップが、なにより問題だった。ペドリが左にいないからだ。中盤選手を左ウイングに据えたはいいが、案の定、ペドリは持ち場をカバーしなかった。

 つまりバルサには攻撃のルートが2本しか存在しなかった。右と真ん中。推進力のある槍は右ウイング、デンベレのみ。彼と真ん中へ横移動するペドリとの非対称は目に余った。

 バイエルンの左ウイング、マネとの比較でもペドリの特異さは一目瞭然だった。両者は同じポジションの選手には見えなかった。

 ひと言でいえば、"中盤サッカーの弊害"だ。これでは高い位置からプレスはかからない。左の深い位置に侵入するケース、その昔、ヨハン・クライフが力説したマイナスの折り返しに至っては、ゼロに等しかった。

 レヴァンドフスキの獲得にも、筆者は疑問を感じる。欧州屈指のCFとはいえ34歳。いつ峠を越えてもおかしくないベテランストライカーだ。他のクラブの後追い感はあっても、新鮮さはない。今季、ドルトムントからアーリング・ブラウト・ハーランドを獲得したマンチェスター・シティのほうが、時代をリードする先進的な選択に見える。

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