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シャビ監督、クラシコの結果次第で窮地に。自ら説いたバルサイズムを放棄したのか (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Reuters/AFLO

効率の追求を否定していたシャビ

 コレクティブにパスをつなぐよりも、一発のパスをゴールに放り込む。できる限り少ないタッチ数で攻撃を完遂。とりわけトランジション(切り替え)での強度が高く、カウンターで相手をノックアウトする、効率に根差したサッカーと言えるだろう。

 国内リーグでは、それで一定の結果を出している。ロベルト・レヴァンドフスキのような強力なストライカーを得て、彼にボールを集めたら、格下相手には圧倒的強さを見せられる。守備面もアンドレアス・クリステンセン、マルコス・アロンソなどの人材補強で強度が増した。リーグ戦8試合で1失点という結果は改善の証だ。

 しかし、プレーの能率が上がった反面、個の力に頼る傾向が強くなり、ボールが動くテンポは緩慢で、意外性も少ない。はっきり言えば、つまらなくなった。金満クラブが有力選手を大量補強して「物量作戦」で戦う構造と、違いが見えにくくなったのだ。

 そもそも効率の追求は、選手だったシャビが否定してきたことだった。

「バルサのスタイルは変わらない。監督が誰であれ、カンプ・ノウの観客が伝統に背くことを許さないんだ」

 現役時代、シャビは"バルサイズム"をそう説いていた。

「バルサは最後方から丁寧にボールを前線に運ぶ。たとえ敵が待ち構えていても、怯まずにパスを回す。相手のミスを誘ったほうが効率はいいのを承知で、僕らは能動的に攻める。攻めの枚数が多ければ守りは薄くなるし、後方にはスペースができる。リスクは高いし、多くの人はそれを恐れる。しかし、それに挑むからこそ、バルサは唯一無二の存在として称賛されるんだ」

 今のバルサは、この理念に背を向けている。

 昨シーズン、監督に就任したばかりのシャビは、限られた戦力で創意工夫を凝らしているように映った。バルサBのフェラン・ジュグラ、アブデ・エザルズリを登用。アンス・ファティ、ロナウド・アラウホ、ガビ、ニコ、エリック・ガルシア、アダマ・トラオレなどラ・マシア組を積極的に使った。うまくいかないことも多かったが、新しい時代の到来を匂わせた。

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