福田正博が指摘する欧州サッカー「センターフォワードの価値の再認識」。ハーランド、レバンドフスキが新天地でも大活躍 (3ページ目)

  • text by Tsugane Ichiro
  • photo by Getty Images

レバンドフスキは新天地でも変わらずゴール奪取

 そのレバンドフスキを獲得したバルセロナは、最前線中央にレバンドフスキを置き、左右にラフィーニャ、ウスマン・デンベレを配した3トップが機能している。

 レバンドフスキはリーグ戦7試合を終えた時点で9ゴール。クラブを移ってリーグが変わっても、このクラスの選手になれば簡単に結果を出してしまうのか。そこがすごいところだ。

 現在のバルセロナを率いるシャビ・エルナンデス監督は、現役時代にロナウジーニョやリオネル・メッシとともにプレーし、グアルディオラ監督の下でプレーした経験があるが、現代サッカーにおいてはCFの重要性もしっかり理解しているのだろう。

 バルセロナと言えば過去にズラタン・イブラヒモビッチを獲得したこともある。当時の監督はグアルディオラ。リーグ戦29試合で16得点を挙げたが、そのシーズン限りで放出されている。

 当時のグアルディオラ監督が、攻撃の軸に据えたのはメッシだった。その能力を最大限に生かすには、ゴール前にポジションを取って待ち構えるCFは、メッシの使えるスペースを消すことになるので不要との結論になり、イブラヒモビッチは放出された。

 監督との間に確執もあったと言われたが、あれだけの数字を残せるCFを切れたのはメッシがいたからだった。そして、そのグアルディオラ監督が今はハーランドという怪物を手のうちに置いているのも、サッカーの面白さである。

 グアルディオラ監督がゼロトップを生み出し、CFがいなくても勝てるという認識が世界で広まったところはあるだろう。

 でも、今シーズンの各国リーグのトップクラブを見ていると、CF回帰に走るチームがある。やっぱりサッカーにおいて勝負を決める確率が高いのは、ボックス内を仕事場にする選手だと再認識されたのだと思う。

 世界的に見ても、CFは育ちにくいポジションになっている。だからこそ手にしたいと考えるクラブがあり、一方で滅多にいないのなら、いなくてもやれる方法を模索しようというクラブもある。

 この対極の軸が切磋琢磨することでサッカーを進化させるわけだが、今シーズンは振り子がCFの価値の再認識に向かって動いているような気がする。そして、この流れはカタールW杯にも現れるのか。しっかり注視したいと思っている。

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