優勝候補フランスに「20年前の悪夢」再び? 主力のケガ、連覇のプレッシャー、デンマーク戦...条件が重なりすぎている

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by AFLO

 視界良好であるはずだった前回W杯王者フランスに、暗雲が立ち込めている。

 その主な要因のひとつは、ディフェンディングチャンピオンとして連覇に挑んだ今年のUEFAネーションズリーグ2022−23の成績不振だ。

 そもそも、昨年10月に開催された同大会2020−21のファイナル4では、準決勝でベルギーを、決勝ではスペインを相手に逆転勝利を収めて初優勝を成し遂げるなど、その強さは「歴代最強」とまで評されていた。

W杯敗退が決まって頭を抱える当時29歳のジダンW杯敗退が決まって頭を抱える当時29歳のジダンこの記事に関連する写真を見る とりわけ、カリム・ベンゼマとキリアン・エムバペの2トップ下にアントワーヌ・グリーズマンを配置する、「BGM」トリオ中心の3−4−1−2に布陣変更したことが大当たり。エンゴロ・カンテは不在だったが、中盤センターのポール・ポグバの相棒役をアドリアン・ラビオ(ベルギー戦)とオーレリアン・チュアメニ(スペイン戦)が見事に務め、左ウイングバックにテオ・エルナンデスが台頭するなど、隙のないサッカーを披露していた。

 しかもその翌11月のW杯予選でも、エムバペとベンゼマがゴールを量産して2連勝。2位ウクライナと勝ち点6ポイントの差を広げてグループ首位通過を果たすと、カタールW杯を約1年後に控えるなか、フランスが優勝候補筆頭と見る向きも多かった。

 ところが、である。今年6月に開幕したネーションズリーグ2022−23では、初戦のデンマーク戦(ホーム)で黒星スタート。足を痛めたエムバペが大事をとって前半で退いていたとはいえ、ベンゼマの先制点でリードしながらデンマークの3枚代えからリズムを失い、1−2の逆転負けを喫したのが「暗転の始まり」だった。

 負傷のグリーズマンを欠いた3日後のクロアチア戦(アウェー)では、ディディエ・デシャン監督が布陣を3−4−1−2から4−2−3−1に変更。過密日程を考慮してローテーションを採用したとはいえ、低調な試合を演じて1−1のドローに終わると、4日後の第3節オーストリア戦(アウェー)も1−1、さらにその4日後の第4節クロアチア戦(ホーム)では0−1の敗戦。

1 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る