優勝候補フランスに「20年前の悪夢」再び? 主力のケガ、連覇のプレッシャー、デンマーク戦...条件が重なりすぎている (3ページ目)

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by AFLO

ぶっつけ本番でW杯に挑む

 また、前線では招集外が続いていたベテランのオリヴィエ・ジルーがオーストリア戦で自慢の高さを生かしたヘディングシュートを決め、2−0の勝利に貢献。バルセロナで復調したウスマン・デンベレも、現在のコンディションを維持できればメンバー入りの可能性が高いことを証明する機会にもなった。

 ただし、それでも不安材料のほうが多いのが、現在のフランス代表だ。

 ひとつは、本番に向けて9月の2試合では3−4−1−2で戦ったものの、1年前のような力強さを取り戻せなかったこと。たしかにジルーはゴールを決めたが、BGMトリオの誰かひとりでも欠いてしまうと、3−4−1−2を採用する効果が薄れてしまうのが明白となった。

 もうひとつは、負傷者の問題だ。カマラのW杯出場は絶望的で、目下リハビリに励むポグバもトップフォームを取り戻すには奇跡を待つしかない。それ以外の選手はW杯出場に支障はないと見られるが、しかし9月と同じような状況が11月に訪れる可能性を否定できないのが実情だ。

 これは強豪国に共通する悩みではあるが、初の冬開催となるカタールW杯の影響で、ヨーロッパのトップクラブでプレーする選手たちはヨーロッパのコンペティションと国内リーグでW杯前のスケジュールが恐ろしいほどの強行軍となっており、いつ負傷者が出ても不思議ではない状況が本番まで続く。

 もちろん、指揮を執る監督にとっては手の打ちようのない問題ではあるが、特に9月の2試合でその問題に直面したフランスは、無事に主力の多くを揃えられたとしても、ほぼぶっつけ本番でW杯に挑まなければならない。

 しかもフランスは、3−4−1−2に布陣を戻してオーストリア相手に勝利したものの、最終節のデンマーク戦では2−0で力負け。カタールW杯でも同じグループで戦うデンマークに対して2連敗を喫したまま、W杯で対戦することになってしまった。逆に2連勝を飾ったデンマークは、自信を深めて本番に臨むことができる。

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