福田正博が指摘する欧州サッカー「センターフォワードの価値の再認識」。ハーランド、レバンドフスキが新天地でも大活躍

  • text by Tsugane Ichiro
  • photo by Getty Images

福田正博 フットボール原論

■欧州サッカー新シーズンが開幕して2カ月ほどが経ち、目立っているはセンターフォワードの活躍だ。今季はハーランドやレバンドフスキら、大物ストライカーの移籍があり、彼らが加入したチームや抜けたチームで興味深い現象があると福田正博氏は指摘する。

決定力を持つストライカーを配置したグアルディオラ監督

 欧州各国リーグが始まって約2カ月が経った。今シーズンは各リーグのトップクラブでセンターフォワード(CF)の入れ替えがいくつかあったが、そこに注目してみるとなかなか興味深いものがある。

ハーランドは新天地のマンチェスター・シティで早くもゴール量産ハーランドは新天地のマンチェスター・シティで早くもゴール量産この記事に関連する写真を見る まずマンチェスター・シティ。ドルトムントから獲得したアーリング・ハーランドがとてつもないハイペースでゴールを量産している。先日のマンチェスター・ユナイテッド戦でもハットトリックを達成したが、これが今シーズンのプレミアリーグで3度目。

 リーグ8試合でチームが奪った総得点29点のうち、約半数の14ゴールがハーランドによるもの。これまでCFらしいCFを置かなかったマンチェスター・Cが、ハーランドを獲得した意義はひとまず大きく出ていると思う。

「ひとまず」なのは、マンチェスター・Cにとってハーランドがゴールを量産するのは、勝利のための手段のひとつにすぎないからだ。大事なのはチームが最終的にタイトルを獲得すること。しかも、プレミアリーグだけではなく、チャンピオンズリーグ(CL)での優勝だ。

 チームを率いるジョゼップ・グアルディオラ監督と言えば、バルセロナを率いた時代にゼロトップを生み出し、世界のサッカーにおいてプレースタイルとプレーモデルの概念を作り変えた人物だ。その彼が、今シーズンは驚異的な決定力を持つストライカーを最前線の中央に配した。

 背景には、プレミアリーグのタイトルを圧倒的な強さで手にしているのに、CLの優勝に手が届いていないことがある。これまではCFタイプのFWを置かず、前線の選手たちの流動的なポジションチェンジとポゼッションの高さによって攻撃での迫力を生み出してきた。だが、それだけでは届かないのがCLの優勝ということなのだろう。

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