ドイツ代表はブラジルW杯から下降線も、初戦に強さを発揮している理由 (4ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 赤木真二●写真 photo by Akagi Shinji

キミッヒにラームの味はない

 一方、隣国、オランダは、ドイツがリベロを最終ラインの後ろに置いたのに対し、フランク・ライカールトがそうであったように、そのひとつ前の位置に据えた。オランダが攻撃的サッカーでドイツが守備的サッカーとする、わかりやすい例だと言ったのはオランダ人の評論家だが、ドイツ代表の4-3-3のアンカーとしてプレーするラームはリベロだった。オラフ・トーンやマテウスに似た小気味のよさがあった。

 1982年スペイン大会で活躍したピエール・リトバルスキー。1990年イタリアW杯優勝に貢献したトーマス・へスラーもそうだが、ドイツは170センチ前後の小兵選手が絡んだ時に、面白いサッカーになる。身体能力の高い大型選手ばかりになると単調になる。

 ラームが代表を引退してから、ドイツはユーロ2016=ベスト4、2018年ロシアW杯=グループリーグ落ち、ユーロ2020=ベスト16と下降線を描いている。現代表でラームに最も近そうなのはヨシュア・キミッヒになるが、彼にはラームの味が出せていない。

 優勝を狙うにはサッカーが単調すぎるとは筆者の見立てだが、だからといって、日本に番狂わせのチャンスが巡ってきていると楽観的になれるほどでもない。大量得点での勝ちを狙い、日本を潰しにかかろうとするドイツが、相変わらず恐ろしく見えるのである。

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