CLを振り返るセルティック旗手怜央。幻の初ゴールシーンも含め目指している「守って、つないで、ゴール前まで行く」プレーを詳細解説 (2ページ目)

  • text by Harada Daisuke
  • photo by Getty Images

守備での判断力を磨かないといけない

 シャフタールとの一戦は、お互いに主導権を握りたくても握らせないような展開になった。相手はある程度の位置まではボールを運ばせてくれるが、そこから先は簡単に割らせてくれない。強固な守備ブロックを作るチームだった。

 それでいてミハイロ・ムドリクを中心としたカウンターはスピードがあり、選手全員が走れる組織だった。レアルとは異なるスタイル――サッカーの幅広さと奥深さ。これこそがヨーロッパに飛び出したかった理由だった。

 レアル戦を終えて守備の重要性を認識したが、シャフタール戦も同様だった。29分にカウンターからムドリクに決められたシーンは、自分の対応にも課題があり、チームのためも、自分自身のためにも、判断力を磨かなければいけないと感じた場面だった。

 セルティックでは4-3-3のインサイドハーフでプレーしている自分が、こうも守備について言及しているのは、システムによる役割が大きい。セルティックは、攻撃時は4-3-3だが、守備時は4-4-2へとシフトチェンジする。そのなかで、自分は攻撃時こそ4-3-3のインサイドハーフだが、守備時はカラム・マクレガーと並ぶ位置まで下がり、ボランチの役割を担う。

 言葉で解説するのはなかなか難しいが、簡潔に説明すると、相手がボールを持った時には下がって守備をし、奪い返したらつなぎ役になり、攻撃時にはゴール前まで上がっていく。縦に横にと広大なスペースをカバーしなければならず、レアル戦でオーレリアン・チュアメニがそうだったと感じたように、「行く時」と「行かない時」の判断を身につけなければならない。

 一方で、ここまでのサッカー人生の多くをFWとして過ごしてきた。川崎フロンターレではサイドバックにもチャレンジしたため、ユーティリティーなイメージを持っている人も多いかもしれないが、根っ子は攻撃の選手だったりする。

 ボランチとしての守備についても、セルティックに加入してからの半年間で取り組んできた。そのため「ここぞ」という時の細かい所作や判断がまだ身についていないとも自覚している。

 守備範囲を広げるのか、それとも局面を見極めるのか。どちらかを考えた時、守備に労力を使いすぎれば、攻撃にパワーを使うエネルギーがなくなってしまう。となると、攻撃での結果も求められているだけに、局面を見極めていく判断力が必要になってくる。

 課題として取り組んでいるのは、その守備での判断力だ。

 ただし、試行錯誤して、攻撃にもその努力の成果を徐々に感じている。シャフタール戦では、4人に囲まれながらターンして、素早く空いているスペースに展開することができた。今シーズン、相手との間合いと距離感、周りを見てプレーすることを意識していたからこそ、できたことだった。

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