CLを振り返るセルティック旗手怜央。幻の初ゴールシーンも含め目指している「守って、つないで、ゴール前まで行く」プレーを詳細解説

  • text by Harada Daisuke
  • photo by Getty Images

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初体験のCLを戦った感触/後編

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9月6日のレアル・マドリードとの一戦で、チャンピオンズリーグ(CL)の世界を知った旗手怜央。続く9月14日のシャフタール戦もプレーしてともに感じたのが、守備の重要性だった。幻となったCL初ゴール(記録はオウンゴール)のシーンの自己実況も含め、初体験となったCL2戦を振り返る。

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幻のCL初ゴールについて

 UEFAチャンピオンズリーグでは、まだグループステージを2試合戦っただけだが、サッカーに正解はなく、勝利を目指す形もひとつではないと再認識した。

CL2試合目のシャフタール戦では、セルティックの貴重なゴールにも絡んだ旗手怜央CL2試合目のシャフタール戦では、セルティックの貴重なゴールにも絡んだ旗手怜央この記事に関連する写真を見る それくらいグループステージ第2戦で対戦したシャフタールは、レアル・マドリードとは異なるスタイルのチームだった。

 先に開始10分に記録したゴールについて言及しておこう。相手の攻撃を防ぎ、右サイドのヨシプ・ユラノビッチが大きくクリアした。その時前線を見ると、3対2で数的優位になっている状況が見えた。

 自分と同じラインには相手選手もいたが、咄嗟に「これは走り込めば、チャンスになるのではないか」と思い、左サイドでセアド・ハクサバノヴィッチがボールを持った時には、すでに走り出していた。

 ドリブルを得意とするジョタは、そうした状況ならば自ら切り込み、シュートまで持ち込むプレーが多い。だが、今季加入したばかりのハクサバノビッチは、練習でも自分の動きを見てくれることが多かった。

 彼ならば、自分がニアゾーンに走り込めば、パスを出してくれるのではないかという感覚もあった。それに、DFが自分に食いつけば中が空き、マークがついてこなければ自分がチャンスになるとも考えた。

 DFの背後を駆け抜けるように走り込むと、予測どおり、ハクサバノビッチはパスを出してくれた。戻ってきていたもうひとりの相手選手がスライディングしてくるであろうことはわかっていたため、シュートは浮かそうと思って蹴ったが、うまく浮かしきれなかった結果、相手の足に当たりゴールになった。

 自分自身でもシュートという意識はあったため、ゴールが決まった時はめちゃめちゃうれしかった。CLでの初ゴールを記録しただけでなく、今季公式戦初得点という意味でもゴールを決められたことに安堵したからだ。

 ちなみにこの得点は、試合中にオウンゴールに修正された。それを知ったのは、後半に入りベンチに下がった時。途中交代で試合時間を確認しようと、スタジアムのビジョンを見ると、セルティックのゴールの下に自分ではなく、ほかの選手の名前が表示されていた。

 その瞬間、「あれ? 自分のゴールじゃないの?」と、愕然したのはここだけの話だ。

 幻のCL初ゴールになったが、あの場面で自分がシュートを打った事実は残っているし、個人としてはあそこに走り込めたのが成長だと考えている。悔しいけど、1-1という結果を踏まえれば、アウェーで貴重な勝ち点1に貢献できたことにもなる。

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