セルティック旗手怜央のCLレアル・マドリード戦記。「モドリッチは切り返しが深く、隙がなかった」
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初体験のCLを戦った感触/前編
スコットランドのセルティックでプレーする旗手怜央が、初めての欧州サッカー、欧州生活で感じた、発見、刺激、体験を綴っていく連載。9月6日に初体験のチャンピオンズリーグ(CL)初戦を、レアル・マドリード相手に戦ったセルティック。今回は世界トップクラスのチームの戦いぶりと、各選手と対面した肌感覚を明かしてくれた。
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焦れなかったレアル・マドリード
ピッチに並ぶと、テレビで何度も聞いたことのある曲が流れた。
UEFAチャンピオンズリーグアンセム――思わず、鳥肌が立った。
同時に、高校を卒業した時にはプロになれなかった自分が、大学を経由して、川崎フロンターレでプロとしての一歩を踏み出し、ここまでたどり着くことができたのかと、思いが駆け巡った。
CLでレアル・マドリードと対戦した旗手怜央この記事に関連する写真を見る サッカー選手としての成長に限界はないと思っているし、さらに上を目指さなければならないとも考えているけど、整列した対戦相手の顔ぶれを見ると、なおさら特別な感情がわき上がった。
それは5年ぶりにCLの舞台に戻ってきたセルティックのファンも同じだったように思う。アンセムが聞こえたと同時に、それをかき消すくらいの大声援がセルティックパークに響いたからだ。
2022年9月6日、セルティックはCLのグループステージ第1節を戦った。対戦相手は昨季王者のレアル・マドリード。選手として、これほどワクワクする相手はいなかった。
ホームで戦った自分たちは、レアルに対して臆することなく戦う姿勢で臨んだ。アンジェ・ポステコグルー監督は、相手がレアルだからといって、特別な戦術や対策を講じるのではなく、いつもどおり戦うことを求めてくれた。
ホームだったこともあり、特に前半はチームとしてやりたいこと、やろうとしていたプレーができた。自分も気負わずに、恐れることもなく、表現するならば、「ちょうどいい塩梅」と言えばいいだろうか。そのくらいのテンションで試合に入れた。
13分にカウンターからリエル・アバダが打ったシュートや、20分にポストに直撃したカラム・マクレガーのシュートが入っていれば、雰囲気や展開も変わっていたかもしれない。
自分が考える以上にレアルの選手たちは多くの経験をしているので、彼らがどう感じるのかはわからないが、1失点したら焦るのか、それとも1失点は許容範囲と考えるのか、欲を言えばそうした状況に持ち込みたかった。
それは自分たちのリズムで試合を進めている時ですら、レアルは焦れることがなく、余裕や自信といったものを感じたからだ。
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