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セルティック旗手怜央のCLレアル・マドリード戦記。「モドリッチは切り返しが深く、隙がなかった」 (3ページ目)

  • text by Harada Daisuke
  • photo by Getty Images

独特の位置にボールを置くモドリッチ

 右利きのモドリッチは、左足をそれほど使わない。一方で右足のアウトサイドを使えるからか、独特の位置にボールを置いていた。右利きの選手であれば右足の前、左利きの選手であれば左足の前に、ボールを置くのがセオリーだ。だが、モドリッチは右足の前ではなく、右よりもやや中央、左寄りにボールを置く。

 そのため、右足に狙いを定めてボールを奪いに行くべきか、左足に狙いを定めてボールを取りに行くべきか迷ってしまった。正対する機会も少なかったため、そこまでいなされた感覚はなかったけど、ボールを奪いに行かなければパスを出されてしまうし、奪いに行けばかわされてしまう感覚があった。

 さらに相手のペースになった後半は、自分が奪いに行くことのできない位置にモドリッチはポジションを取るようになった。まさに、こちらの立ち位置を見て、モドリッチはプレーしていた。

 自分は、そこでボールを奪いに行けば、センターフォワード、あの時はエデン・アザールにスペースを与えてしまうことになるし、行かなければモドリッチに自由を与えてしまう状況を作られた。

 日本で近いプレースタイルの選手を探せば、中村憲剛さんになるだろうか。憲剛さんがよく言語化していたように、モドリッチもまさに相手の立ち位置や状況を見てプレーしていた。

 一方、バルベルデはとにかく馬力がすごかった。ドリブルスピードも速いうえに力強い。

 それ以上に目に留まったのは、守備だった。レアルもセルティックと同じく、攻撃時と守備時でシステムが変わるが、ここのスペースを突けると思うと、バルベルデが埋めていた。

 バルベルデは攻撃が特長の選手という印象だったが、その彼が高い守備意識を持ち、チームのために働いていた。守備力を高めなければいけないと感じたのは、彼のプレーを見たこともある。

 自分と同じようにCLデビューだったオーレリアン・チュアメニも同様。今、自分が課題にしている守備での「行くところ」と「行かないところ」の判断がはっきりしていた。そのプレーの善し悪しではなく、基準がはっきりしているため、チームもその基準に合わせて動いているように感じた。

 わずか1試合、されど1試合。レアルと対戦できたことを含め、CLは新しい世界を見せてくれた。試合後に感じたのはセルティックで、このチームで、CLの決勝トーナメントに進出したいという思いだった。

 そして、まだまだできないことも多く、技術的にも精神的にも上を目指したいと思うと同時に、できる、やれるという感触も抱かせてもらった。
(後編「幻のゴールシーン解説」>>)

旗手怜央 
はたて・れお/1997年11月21日生まれ。三重県鈴鹿市出身。静岡学園高校、順天堂大学を経て、2020年に川崎フロンターレ入り。FWから中盤、サイドバックも務めるなど幅広い活躍でチームのリーグ2連覇に貢献。2021年シーズンはJリーグベストイレブンに選ばれた。またU-24日本代表として東京オリンピックにも出場。2021年12月31日にセルティックFC移籍を発表。今年1月より、活躍の場をスコットランドに移して奮闘中。3月29日のカタールW杯アジア最終予選ベトナム戦で、A代表デビューも果たした。

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