旗手怜央のリズムにレアルの選手は対応できていなかった。欧州組のCLが開幕

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Reuters/AFLO

前田大然のゴールが決まっていれば...

 そのプレーのリズムにレアル・マドリードの選手は対応できていなかったのだ。ボール操作、ステップワーク、ポジショニングなどに、旗手は独得の存在感を発揮した。味方には頼もしく、相手には嫌らしく感じられるプレーである。20分に勘のいいミドルシュートを放ったかと思えば、26分には左を深くえぐり、マイナスの折り返しも送っている。気負うことなく淡々と。前半が0-0に終わったことと、旗手のそうしたプレーは密接に関係していた。

 レアル・マドリードは前半30分、カリム・ベンゼマが負傷。エデン・アザールと交代した。ベンゼマといえばチームにとって、ヴィニシウス・ジュニオールとともに変更のきかない重要な選手である。接戦続きだった昨季CL終盤のトーナメントは、この2人のコンビで勝ち抜いたようなものだった。そのひとりが欠けたことも、前半が0-0に終わった理由である。

 後半、ポステコグルーは頭から前田大然を投入。右ウイングの位置にイスラエル代表のリエル・アバダと交代で据えた。アバダがどちらかといえば張って構えたのに対し、前田はディフェンスラインの裏狙いで、ポジションもやや内側に構えた。

 レアル・マドリードは後半11分、ヴィニシウスが先制ゴールを決めると、その4分後にはルカ・モドリッチが、ベンゼマがベンチに下がった後に0トップのようなスタイルでプレーしたアザールとの連係で追加点を奪う。後半の早い段階で勝利を確定させることに成功したが、セルティックが後半2分に掴んだ決定機をものにしていれば、結果はどうだっただろうか。

 チャンスを作ったのはセルティックの右SB、ヨシップ・ユラノヴィッチで、その折り返しをゴール正面で受けたのが前田だった。ほぼ、「どフリー」。まさしく決定的なチャンスだった。インサイドのどこか骨張った硬い場所にボールが当たっていれば、ゴールは決まっていたはずだが......。

 こう言っては何だが、前田はこの日、アンラッキーボーイだった。後半のあるときまで外に張らず、ラインの裏を狙おうとするスピード重視のプレーが、試合展開とマッチしていなかった。右サイドにボールが収まらなくなってしまったことで、レアル・マドリードに流れを持っていかれたという印象である。

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