南野拓実が最も輝けるポジションはどこか。右サイドでは魅力半減、日本屈指の能力は「中央」でこそ生きてくる (2ページ目)

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by AFLO

南野は本来フィニッシャー

 基本的にフィニッシャーの南野にとって、右サイドではプレーの選択肢が狭まる傾向がある。縦に突破してクロスを供給するタイプではないうえ、内側でボールを受けてもシュートコースをつくりにくい。

 そのため、PSV戦ではチャンスに絡むシーンがほとんどなかった。唯一、左SBカイオ・エンリケから斜めに入ったロングフィードをDFライン中央の背後で受けたシーンが第1戦であったが、左足で放ったシュートは枠を外れている。

 一方、今回のRCランス戦のように左サイドでプレーする場合は、内側にポジションをとっても右足でシュートを狙うためのアングルを作りやすい。実際、この試合でも、相手ペナルティエリア内で右SBヴァンデルソンからのアーリークロスを受けるシーンを作っている。残念ながら、コントロールが難しいワンバウンドのボールだったためにシュートに持ち込めなかったが、クロスが合えばそのまま右足でシュートを狙えたシーンだった。

 また、前半34分には、右ボランチを務めたMFジャン・ルーカスからのロングフィードを、DFの背後に斜めに入った南野がペナルティエリア内で受けるシーンもあった。南野の動き出しと、それを見逃さなかったジャン・ルーカスのパスが光ったこのシーンは、相手3人に囲まれたことでゴールチャンスとはならなかったが、南野の特長をチームメイトが理解していることが見てとれた。

 結局のところ、これらのプレーからもわかるように、フィニッシャーである南野はゴール前で勝負すべき選手に見える。ただ、ハードワークによる守備的貢献度も含めてサイドでも器用にプレーできるため、いつの間にか前所属のリバプールでも、日本代表でも、サイドプレーヤーとしてのイメージが強くなっている印象は否めない。

 しかし、南野が日本代表で最も輝いていた2018年森保ジャパン発足時を思い出せばわかるように、ペナルティエリア内でプレーする南野は、フィニッシャーとして日本屈指の能力を発揮していた事実がある。それを考えると、様々なチーム事情はあるにせよ、近年の南野は持ち味を発揮できるポジションから遠ざかっていることになる。

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