ボーフム浅野拓磨が背番号11に変更した思い。「寿人さんの存在があって、今の自分につながっている」
苛烈な競争を勝ち抜き、FWとして生き残っていくうえで必要なものとは、一体なんだろうか。
おそらくそれは、「自分こそが点を決める」というある種の強烈な私心であり、その利己心は「図々しさ」とも置き換えられる。このセオリーが正しければ、これまでとは違った浅野拓磨を今季は見られるかもしれない。
プレシーズンで好調をキープしている浅野拓磨この記事に関連する写真を見る 7月23日、ボーフムはプレシーズン最後のテストマッチに挑み、かつてドルトムントやブレーメンで活躍したヌリ・シャヒンが監督を務めるアンタルヤスポルと対戦した。
4−2−3−1の右MFで先発した浅野は、前半こそ見せ場を作れなかったものの、左MFへポジションを変えた後半は、まず同11分にコンスタンティノス・スタフィリディスのクロスに頭で合わせて1点目。その2分後には、同じくスタフィリディスからのロングフィードを右足アウトサイドで巧みにトラップすると、エーマー・トプラクを置き去りにして2点目を決めた。
試合を終えたあと、「会心の出来でしたね」と声をかけると、浅野は開口一番「そうっすね」と笑顔を見せ、こう続けた。
「トレーニングマッチですし、ハノーファーの時もシュツットガルトの時もプレシーズンで調子がいいっていうのはずっとあって、シーズンが始まってからなかなか結果が出ないという、それの繰り返しだった。ここで結果が出たことによって......なんて言うんだろうな。これがシーズンにつながるかと言ったら、僕のなかではまたまったく別の話。
ただ、これまでと違うのは、『この結果に対して、調子に乗ってもいいかな?』と自分のなかでは感じていて。今までは"ザ・日本人"の考え方だったので。今までの『まだまだ練習試合やし、調子に乗らずにやらないと』っていう考えが、逆に自分の勢いを殺してきてたのかなって。シーズン始まったらまったく違う雰囲気で、やっぱり体の感じ方も違うし。
でも、ここでチームの中心でやれてる、結果も出てるってことに、もっともっと調子乗ってきてよかったなと。チームメイトにどう思われようが、ファンにどう思われようが、自分の感覚でプレーしたいなっていうのが、ひとつ感じるところかなとは思います」
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