新生PSGジャパンツアー直前分析。攻撃はMNMトリオのアドリブ優先、守備は不慣れな3バックを採用か (3ページ目)

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by AFLO

得意の4バックはなぜ封印?

 問題は、この3バックシステムはまだ着手したばかりの戦術であり、機能するまでには時間を要するということだろう。USクヴィイー戦にしても、公開練習のトレーニングにしても、ビルドアップからスムースに前線にボールを配給することさえままならず、当然だが、現段階においては試行錯誤の状態であることが見て取れた。

 そもそもガルティエ監督は、過去に指揮したサンテティエンヌとリール時代の3年目までは、ほぼ一貫して4−2−3−1を採用した指導者で、リール時代の4年目に基本フォーメーションを4−4−2に変更してリーグ優勝に導き、昨シーズンもニースで4−4−2を継続。柔軟にシステム変更をしながら戦うタイプの監督ではなく、しかもメンバーをほぼ固定しながらチーム作りを行なう傾向が強かった。

 しかし、控え選手にもワールドクラスが名を連ねるPSGでは、同じ手法は通用しないと判断したのか、自分のやり方を貫くことはせず、選手の能力を最大限に生かすための方法を考え、これまで採用してこなかった3バックシステムに着手した。そのうえで、ほぼ同じチーム力を持つ2チームを作って、超過密日程となっているシーズン前半戦を乗りきりたいという意向も公言している。

 要するに、ガルティエ監督は未知数な部分を多く抱えたまま、シーズン開幕を目指すことになるわけだ。

 ジャパンツアーの対戦相手となる川崎、浦和、G大阪はシーズンの真っ只中であり、チームの成熟度、選手個々のコンディションなどを考えると、PSGにとっては難しい試合になることは必至だ。

 しかしガルティエ監督としては、今回の3試合は勝敗よりもチーム戦術の植えつけや選手のコンディションを上げていく作業を重視しながら、開幕戦に照準を合わせたチーム作りを進めていくことになるだろう。

 ジャパンツアー初戦となる川崎戦の注目は、いかにしてPSGが川崎のプレスを回避し、前線の「MNMトリオ」にボールを配給できるかという点だ。

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