グアルディオラの勝負弱さは「究極のロマンチスト」だから? シティを率いて6年目、哲学を曲げずにCL制覇なるか

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by AFLO

 チャンピオンズリーグ(CL)準々決勝第2戦、アトレティコ・マドリード対マンチェスター・シティの一戦はゴールレスドローで終了。特に後半は苦戦を強いられたが、最終的にはホームでの第1戦を1−0で勝利していたシティに軍配が上がった。

 これにより、シティは通算3度目となる準決勝進出が決定。チームを率いるペップ・グアルディオラにとっては、あのジョゼ・モウリーニョ(現ローマ監督)を追い抜き、監督としてCL史上最多となる「9度目のベスト4進出」の偉業となった。

名将グアルディオラはシティを初のCL優勝に導けるか名将グアルディオラはシティを初のCL優勝に導けるかこの記事に関連する写真を見る「第1戦とは異なる試合になるはずだ。(アトレティコは)よりアグレッシブになり、きっと我々が問題を抱える時間があるだろう。それでも我々は、我々の試合をしなければならない。これまでも、そうだったようにね」

 これは、アトレティコとの第2戦の前日会見におけるペップの発言だ。

 どんな相手に対してもボールの保持にこだわり、攻撃的スタイルを貫きながらゴールと勝利を目指すのがペップのスタイル。その揺るぎなきフィロソフィーがあるからこそ、近代サッカーの戦術を大きく変えることができたのだろう。

 そういう意味で、ペップこそ、究極のロマンチストと言えるかもしれない。

 しかしその一方で、理想を追求しながらも、ペップがこれまで数々のタイトルに導いてきたのも事実。バルセロナ時代は、CL=2回、国内リーグ=3回、国内カップ=2回。バイエルン時代は、国内リーグ=3回、国内カップ=2回。そしてシティでも、国内リーグ=2回、国内カップ=1回、国内リーグカップ=4回。これらのタイトルは、ペップが理想と現実を両立させてきた証であり、勲章でもある。

 ただし、近年のCLにおいては、タイトル獲得に苦労している部分は否めない。

 初めて監督としてチームを率いたバルセロナ時代こそ、初年度に優勝、2年目にベスト4、3年目に優勝、4年目にベスト4と、華々しいキャリアのスタートを切った。だが、バイエルンを率いた3シーズンは、いずれもベスト4止まり。

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