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長谷部誠の「立ちたい」思いが叶う。フランクフルト、バルサに劇的勝利

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 ヨーロッパリーグ(EL)準々決勝第2戦バルセロナ対フランクフルト。フランクフルトにとって、1-1で終えたホームでの第1戦の戦いぶりは決して悪いものではなかった。もしかしたら......と、サポーターに期待させる試合内容だった。それでもバルセロナは格も実力も何枚も上の相手。しかも第2戦はカンプ・ノウだ――。

 勝利の瞬間、選手たちはまるで優勝でもしたかのように、ピッチ上で喜びを爆発させた。カンプ・ノウのバックスタンド最上段はフランクフルトからのサポーターで埋まっていた。彼らの喜びの歌を、選手たちはピッチに座って聞き、踊り、喜びをわかちあうという"儀式"を行なった。

 ひと段落して、ベンチに引き上げるそぶりをみせながら、またサポーターの元に戻る。そんな子どものようなことを何度も繰り返し、なかなかピッチを立ち去らない。サポーターよりも選手のほうが喜んでいるように見えた。オリバー・グラスナー監督は「今夜ここにいることのできた誰もが、この出来事を忘れることはないだろう。こんなに感動的なハイライトは、世界中のどんなお金でだって買うことはできない」と、歴史的勝利を喜んだ。

 バルセロナ戦後、サポーターの声援に応える鎌田大地、長谷部誠らフランクフルトの選手たち バルセロナ戦後、サポーターの声援に応える鎌田大地、長谷部誠らフランクフルトの選手たちこの記事に関連する写真を見る アウェーでの挑戦者らしい戦いだった。5-4-1の守備的な布陣を採用し、統率の取れた守備で相手の攻撃を受け止めた。

 試合は開始早々の3分、イェスパー・リンドストロームが倒されて得たPKをフィリップ・コスティッチが冷静に決めるところから始まった。早すぎる先制点は相手の猛攻を呼ことにはなったが、守備が冴えていた。高い集中力を見せ、球際の一歩目のスピード感、フィジカルでバルセロナを圧倒した。

 耐え続けて、36分。カウンターでコスティッチからのラストパスをサントス・ボレが豪快に決め0-2に。相手の士気を奪った。

 後半、メンバーを替えて立て直しを図り、再び攻勢を強めるバルサの望みを絶ったのは67分。右サイドのスローインから、鎌田大地が巧みにワンタッチで左サイドに展開すると、コスティッチが強烈なミドルシュート決め、0-3とした。

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