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長谷部誠の「立ちたい」思いが叶う。フランクフルト、バルサに劇的勝利 (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

長谷部が見せた現役の選手としての自負

 鎌田はフル出場。77分には相手をかわし、自らも強烈な右足シュートを放ったが、枠を捉えることはできなかった。それでもこの日の鎌田は、チャンスメイクだけでなく、相手のパスカットなど守備でも貢献度は高かった。ピッチのいたるところで、なくてはならない存在だった。

 90分に差しかかったところで、ベンチスタートだった長谷部誠とティモシー・チャンドラーに声がかかった。ここでバルセロナに1点を返され、いったんは保留になったが、9分間という長いアディショナルタイムのラスト1分のところで、再び声がかかった。「一度も立ったことがないので、立ちたい」と話していたカンプ・ノウの舞台に長谷部はわずかながら立つことができた。その後、さらにPKで1点を返されて2-3になったが、直後に試合は終了した。
 
 長谷部は今年2月、フランクフルトとの5年間の契約延長を発表している。38歳という年齢を考えれば異例の契約だが、引退後は同クラブで指導者としての道を歩き出すところまでが盛り込まれている。だが長谷部は、「おそらく来季いっぱいで引退だろうと」しつつも、現役選手としての意地を口にしている。

「あまり試合に出なかったりするなかで、リズムが掴みづらい時はやはりあるかなというのは感じていますが、試合に出たらしっかりとやるということはできていると思います。じゃなかったら、契約延長はなかったと思います」

「ここ数年、最後の1年だと思ってずっとサッカーして、1年ずつ契約を更新している。こんなに長くサッカーをやるとは思ってなかったし、その引き際をどういうタイミングで決めるのかはわからないけれど、契約をもらえなかったら辞めるだろう」

 契約があるということは現役の選手として認められているということ。そんな自負が言葉の端々に滲んだ。

 フランクフルトにとってEL準決勝は2018-19シーズン以来となる。アディ・ヒュッター前監督の1シーズン目で、ドイツ杯1回戦敗退などシーズン序盤は苦戦しながら、ブンデスリーガでは尻上がりに調子を上げていったシーズンだった。それでもEL準決勝進出は予想以上の快挙。その準決勝ではチェルシーを相手に2戦合計で2-2、PK戦の末に敗れている。

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