「鎌田大地をなぜ招集しない?」。バルサ戦が教える日本代表がスペインに対抗する方法
ヨーロッパリーグ準々決勝第1戦。ドイツの名門フランクフルトとスペインの強豪FCバルセロナとの対決は1-1の引き分けで終わったが、その攻防は啓示的だった。
森保ジャパンはカタールW杯でドイツ、スペインとどう戦うべきか? そのヒントが詰まっていたのだ。
「ところで、なぜ鎌田大地は最近の代表に入っていないんだ? 何か裏があるのか?」
スペイン人指導者で、Sportivaでも日本代表リポートを10年以上書いてきたミケル・エチャリからメッセージが届いた。フランクフルトのアタッカーとしてバルセロナ戦に先発した日本人ファンタジスタ、鎌田のプレーに感心しきりだった。
「あらためて本当にいい選手だよ。シャドー(トップ下)の一角だったが、プレーにパウサ(スペイン語で「休止、ゆっくり」という意味。止まる動きを入れることで逆を取って緩急をつける)と連続性を与えていた。ひとつひとつの判断にプレーインテリジェンスを感じさせ、テクニカルでタクティカルなプレーだった。攻撃だけでなく、守備ではペドリへのパスコースを封鎖していた」
ヨーロッパリーグのバルセロナとの第1戦で、攻守にわたって活躍した鎌田大地(フランクフルト)この記事に関連する写真を見る 直近のカタールW杯予選に、森保一監督は鎌田を招集してない。
ヨーロッパのカップ戦で上位に進出しているチームで主力になっている日本人選手は鎌田のみである。PSV(堂安律)、ヘンク(伊東純也)、セルティック(古橋亨梧、旗手怜央、前田大然)はすでに敗退。ちなみにチャンピオンズリーグのリバプールには南野拓実がいるものの、レギュラーをつかむには至っていないのだ。
森保監督は鎌田のような選手を戦力に取り込み、チームとしての最大値を出す努力をすべきだろう。
鎌田のプレーは「ハードワーク」「規律」「勤勉さ」を求める監督には緩慢に映るかもしれない。どこか力が抜けたような立ち方、走り方をする。しかし、それは彼のプレースタイルで、力まないことによって素早い反応ができるし、優れたビジョンのなかで技術精度を失わないのだ。
バルサ戦も、守備をさぼってはいなかった。むしろプレーへの準備に知性を感じさせ、いいポジションを取ることで、守備では特にペドリへのパスコースを消していたし、味方と連係してパスカットする場面もあった。
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