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「鎌田大地をなぜ招集しない?」。バルサ戦が教える日本代表がスペインに対抗する方法 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Getty Images

バルサ相手でも引き分けは狙わない

 同時に、攻撃でもパスを引き出し、いい体勢で受け、アドバンテージを持って次のプレーに好循環を起こしていた。

 最近の日本サッカー界は「インテンシティ」という言葉が独り歩きしているきらいがあるが、ガツガツとボールに詰め寄るのは二流のインテンシティである。残念ながら、それはトップレベルでは通用しない。事実、フランクフルトは闇雲にプレスにはいかず、あくまでコースを切って、誘い込んでボールを奪いとっていた。90分間、猛烈なプレッシングは続かず、わずかに出足が乱れてはがされれば、ピンチに陥るのがオチ。「気合い」よりも緻密さが必要だ。

 フランクフルトの戦法と鎌田の存在は、森保ジャパンがスペインと戦う時、ひとつの足がかりになるだろう。

 フランクフルトは3-4-2-1の布陣だったが、フォーメーションに関わらず、格上相手でも「逃げない」姿勢が重要になる。ラインはできるだけ高く保って、できるだけボールを大事にし、何より攻撃の選択肢を残せるか。リスペクトはしても、臆さず、引き分けなど狙わない。

 この試合のフランクフルトは果敢だった。先制点も後半の立ち上がりから仕掛け、奪いとったCKのこぼれ球をアンスガー・クナウフが叩き込んでいる。

「攻撃こそ防御なり」

 鎌田とセルビア代表フィリップ・コスティッチの攻撃ラインは相手に脅威を与え、防御においても「歯止め」となっていた。

 もうひとつ、肝に銘じるべきは「90分間、同じようには戦えない」という点だろう。

 後半、バルサがオランダ代表フレンキー・デ・ヨング、フランス代表ウスマン・デンベレを投入すると、フランクフルトは徐々に後手に回っていった。心身の消耗もあって、少しずつ立ち位置がずれた。単純にデンベレの個人技に手を焼き、ペドリは息を吹き返し、最後はデ・ヨングとのワンツーでスペイン代表フェラン・トーレスの一発を食らい、同点に追いつかれた。

 フランクフルトはその後、退場者を出してしまい、これを機に鎌田も交代、受け身に回らざるを得なくなった。1-1で引き分けたのは僥倖と言えるだろう。最後はガス欠だった。

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