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バイエルンを撃破し4強進出のビジャレアル。ドイツ人にはない「ラテンのリズム」が大番狂わせを成し遂げた (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by AP/AFLO

バイエルンの「弱点」とは

 バイエルンがマンチェスター・シティ、リバプールとともに優勝候補に挙げられていたのに対し、ビジャレアルは準々決勝に残った8チームの中では最弱チームと見られていた。約150万人対5万人とは、ミュンヘン市とビジャレアル市の人口比較だが、ビジャレアルの勝利を予想した人も、それぐらいの関係だったのではないか。
 
 ビジャレアルが第1戦のホーム戦を1-0でものにしても、バイエルン有利は動かなかった。後半7分、ビジャレアルMFダニエル・パレホのミスパスから、ロベルト・レバンドフスキが今大会通算13ゴール目となるシュートをゴール右隅に流し込むと、勝負あったかのムードになった。バイエルンの逆転ゴールは時間の問題かに見えた。

 バイエルンは4-4-2の布陣を引き気味にして構えるビジャレアルの戦い方を予想したのか、第1戦の4-2-3-1から3-4-2-1的な布陣に変更して臨んできた。サイドアタッカーが両サイド各1枚でも、サイドで優位に立てると踏んだのだろう。実際には3-4-2-1というより3-2-4-1に近い形で対峙できるだろうと。

 前半はそれが甘い願望に終わっていた。キングスレイ・コマン(左)とレロイ・サネ(右)の両ウイングバックは、深い位置に侵入することができず、クロスの大半をプラスの角度から送り込んでいた。それが後半に入るや一転、症状は改善されていく。マイナスの折り返しは増えていった。押し込むバイエルン。ひたすら守るビジャレアルという構図は、時間の経過とともに鮮明になっていった。ビジャレアルは、ジェラール・モレノ、アルノー・ダンジュマの2トップに生きたボールが供給できなくなっていた。

 ところが、バイエルンはあと1点を奪うことができない。このままいけば延長戦。焦って攻めれば、失点する可能性もゼロではない。焦らずじっくり料理しようという狙いもあったのかもしれないが、攻めあぐみという見方もできた。ビジャレアルの面々と比較すると鮮明になるのだが、バイエルンにはラテン系の選手がいない。強いて挙げればサネがそれに該当するが、全体のリズムはともすると単調になりやすい。チアゴ・アルカンタラ(現リバプール)がいなくなった穴が大きいと見る。

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