日本代表のドイツ打倒のヒントを見た。CLでバイエルンを下したビジャレアル (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Chris Brunskill/Fantasista/Getty Images

前回王者チェルシーの敗因

 そこで思わず、「最初から普通に戦っていれば......」と後悔したくなるのが、守備的サッカーの一番の問題だ。計画が途中で崩れたとき、立て直しにくい。ならば最初から、そうしておけばよかったと、恨みたくなるサッカーである。

 レアル・マドリードの3点目は、チェルシーにとっては皮肉なことに、全体が前掛かりになった後半開始直後に生まれた。CBアントニオ・リュディガーとGKエドゥアール・メンディの間に連係ミスが発生。そこをカリム・ベンゼマに詰められてしまった。出鼻をくじかれる間の悪い姿を曝すことになった。

 かつてのジョゼ・モウリーニョ監督時代、バルセロナに向かっていった時のようなチャレンジャー精神が、チェルシーからは消えていた。昨シーズンの覇者。ディフェンディングチャンピオンである。その感覚で受けて立った格好だ。レアル・マドリードにとって嫌なのはその逆のはず。向かってこられることだが、チェルシーは、ブックメーカー各社の下馬評である4位(レアル・マドリード)対5位(チェルシー)の立ち位置ではなく、負けられない立場にある強者としてこの一戦に臨んでしまった。

 自分たちは強者なのか、はたまた弱者なのか。レアル・マドリードとの関係において立ち位置を見いだすことができなかった。ホーム戦にもかかわらず2点差の敗戦を喫した一番の理由と考える。

 アウェーゴールルールのもとで行なわれた昨季までなら、この3点目はダメ押しゴール同然だった。しかし、それが撤廃された今季は単なる2点差負けにすぎない。チェルシーに挽回の余地は残されている。トゥヘル監督がどんな布陣で臨むのか。攻撃的に行くのか、守備的に行くのか。

 ならば最初から普通に戦っていれば......。マンチェスター・シティに1-0で敗れたアトレティコのディエゴ・シメオネ采配も、チェルシー対レアル・マドリードと同様の感想を抱かせた。5バックで守りを固めながら1-0で敗れる姿は、もったいないというか、非効率に映るのだ。アトレティコの選手の顔ぶれはそれなりに豪華だ。がっぷり四つに組んだ試合が見たくなる好選手で固められている。

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