久保建英、堂安律を超える可能性。坂元達裕がベルギーでプレーの幅を広げている

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Belga Image/AFLO

 ベルギーリーグといえば、欧州で日本人選手が最も多くプレーしているリーグとして知られる。欧州のメジャー国でプレーすることを夢見る彼らにとっては、欧州大陸の入り口に相当する。

 なかでもシュミット・ダニエル、林大地、原大智、橋岡大樹、松原后、香川真司と6人もの選手が在籍するシント・トロイデンは、その役割を担う登竜門と言うべきクラブになる。シント・トロイデンを経由して欧州のどの街に辿り着くか。

 とはいえシント・トロイデンは港町ではない。大西洋から大きく離れたドイツ寄りの内陸に位置する。ベルギーは国土が海とわずかなエリアしか接していない、いわば海岸線の短い国。中継貿易の視点で欧州大陸を眺めたとき、隣国オランダのほうが恵まれた立地に映る。

 2月27日。シント・トロイデンをホームに迎えたオーステンデは、大西洋岸のオランダ語圏に位置する港町のクラブだ。一般論として、経由地としての地理的な適性は、シント・トロイデンより恵まれた環境にある。

 試合は0-0。引き分けに終わった。シント・トロイデンの一員として先発を飾ったシュミット、林、原、橋岡は、総じて悪くないプレーを見せた。欧州で次の場所を狙えそうな可能性を抱かせた。しかし、欧州の上位クラブのスカウトが実際にこの試合を観戦していたならば、最上位にリストアップしたのは、オーステンデでプレーしたひとりの日本人選手ではないだろうか。

 今年1月、セレッソ大阪からレンタル移籍してきた坂元達裕には、オーステンデを経由して欧州の次なる街に羽ばたいていきそうな、好ムードが満ち溢れていた。

今年1月、セレッソ大阪からベルギーのオーステンデに移籍した坂元達裕今年1月、セレッソ大阪からベルギーのオーステンデに移籍した坂元達裕この記事に関連する写真を見る オーステンデは中継地としての街の魅力とは裏腹に、サッカー的にはうしろで構えようとする守備的なチームだ。坂元のポジションは5バックになりやすい3-5-2の2トップの一角だが、実際にはセネガル人FW、マフタル・ゲイエの脇で、1トップ下のような雰囲気で構えた。

 ベルギーリーグに出場し始めた頃、坂元は3-4-3の左ウイングで出場するケースが多かった。監督の交代に伴い、布陣も坂元のポジションも変化したわけだが、いずれにしても、C大阪時代に脚光を浴びたポジション=右ウイング(右サイドハーフ)ではプレーできていない。

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