凍る欧州の移籍市場。バルサのフェラン・トーレス獲得が最大のディールか

  • 中山淳●文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by AFP/AFLO

【冬の移籍市場はコロナ前の4分の1に】

 たとえば、マンチェスター・シティ、マンチェスター・ユナイテッド、チェルシー、リバプール、アーセナル、トッテナムについては、資金を投下して獲得した新戦力は皆無。プレミアリーグ以外も状況は似ていて、レアル・マドリード、アトレティコ・マドリード、ユベントス、ミラン、インテル、バイエルン、ドルトムント、パリ・サンジェルマンといった資金力のあるビッグクラブに、移籍金が発生するような大型補強に乗り出す動きはなく、マーケット全体の取引額も減少傾向にあるのが現状だ。

 もっとも、このような現象は昨年の冬のマーケットにも見られていた。

 スイスの「CIES(スポーツ研究国際センター)フットボール・オブザーバトリー」の統計によれば、2021年冬の移籍期間で5大リーグのクラブが投下した移籍金合計額は、3億900万ユーロ(約400億円)。マンチェスター・ユナイテッドはアマド・ディアロ(アタランタ)の青田買いに2130万ユーロ(約27億円)を投資したが、その他のビッグクラブが財布の紐を締めたことで大型移籍はゼロ。移籍マーケットが極度に冷え込んだことは記憶に新しい。

 もちろん、最大の原因は新型コロナウイルスの世界的パンデミックの影響だ。実際、パンデミック直前の2020年冬のマーケットでは、5大リーグのクラブが投資した移籍金は、計12億9500万ユーロ(約1670億円)だった。つまり、パンデミックによってマーケット全体の取引額は、おおよそ4分の1にまで縮小したのだ。

 冬と夏を合わせた年度別で比較してみても、パンデミック前の2019年の合計額が66億5000万ユーロ(約8575億円)だったのに対し、2020年が47億8100万ユーロ(約6165億円)、2021年が38億2200万ユーロ(約4928億円)と右肩下がり。5大リーグのクラブの財政悪化に大打撃を与えたパンデミックの影響が顕著に表れている。

 ビッグクラブのマネーがマーケットに流れなければ、当然ながら、その他のクラブの懐に入るマネーも減少する。自前の選手を育てて売却することで生計を立てているクラブの財政に、悪影響が出てしまうことは避けられそうにない。

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