ユベントスに何が起きているのか。成績低迷と不正決算疑惑の背後にあるもの (2ページ目)

  • パオロ・フォルコリン●文 text by Paolo Forcolin
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

 それにしてもなぜユベントスはこんなことになってしまったのか。

1 現在のユベントスには、同じようなタイプの選手が何人もいるかと思えば、全然足りないポジションもある。例えばフアン・クアドラード、フェデリコ・ベルナルデスキ、デヤン・クルセフスキー、フェデリコ・キエーザ、モイーズ・キーンは、全員がオフェンシブなウィンガーで、右サイドを得意とする。ところが左サイドを本来のポジションとするのは疲弊したアレックス・サンドロしかいない。

2 有能でスタークラスのセンターフォワードがいない。そのため攻撃の核となり、ボールをキープし、チームメイトからのパスを有効に使える存在がいない。アルバロ・モラタがそれを目指してよく走ってはいるが、ゴールまでこぎつけることはほとんどない。

3 未来のキャプテン、パウロ・ディバラは、次から次へとケガをするため、ここまでほとんどプレーをしていない。やっとプレーできたとしても、チームのレベルを上げられるようなプレーができていない。高いテクニックを持つ選手であることは疑いようもないが、パーソナリティに関しては"怪物"ではない。

4 昨シーズンに比べると、中盤の補強はマヌエル・ロカテッリのみ。それでは十分ではなかった。ロドリゴ・ベンタンクールは明らかに力が落ちているし、ウェストン・マッケニーも波がある。アドリアン・ラビオにはがっかりだし、アルトゥールは動きが鈍い。

5 CBの2人に明らかな限界が見られる。レオナルド・ボヌッチは34歳、ジョルジョ・キエッリーニは37歳。何年もハードなプレーを続けてきた彼らのフィジカルは消耗されている。そのため、1試合出場したら次は欠場という感じだ。彼らと交代可能なマタイス・デ・リフトは優秀だが、ダニエレ・ルガーニはほとんどプレーしていない。

6 アッレグリは、自分がどういうチームを目指しているのかを明確に示せていない。ここまでの15試合で1度も同じスタメンで戦ったことがない。そのため選手たちは、とくに中盤では、チームプレーに必要なハーモニーが生まれていない。

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